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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 番外編

第1章 "誰かを想うこと" 社長のお誕生日ss


「これ……俺、から、あんたに……」

改まると恥ずかしさが込み上げて来て、俺は視線を逸らしながら言葉を発した

「嗚呼、すまぬな」

福沢はプレゼントを受け取ると言葉を紡いだ

「開けても善いか、」

「あ、嗚呼……もう、あんたのもんなんだ、好きにすれば善いだろう、」

視線を逸らしながら言葉を発すると、直ぐに包装を解く音がする

「俺……誕生日に何かを贈るとか、祝うとか……初めてだから……」

俺が話し始めた事により、包装を解く音は止んだ

「その、プレゼントが、あんたが気に入るかは判らねぇが……」

視線を感じた俺が催促した事で再開された後に福沢が俺の前でプレゼントを開けた

そして、福沢は目を見張らせたが、直ぐに緩く細められる

「その、」

俺が言葉を発すると福沢は再び此方へと視線を向ける

「た、誕生日……」

「おめでとう、」

恥ずかしさが勝り、視線が絡み合ったのも一瞬であった

しかし、暫しの後に福沢が俺の名を呼んだため、窺う様に徐に顔を上げた

「嗚呼、礼を言う」

「お、おぅ……」

「プレゼントも、大切にしよう」

俺は柔らかく笑みを溢した福沢に目を見開かせると共に俺の中に流れる血液が顔に集まるかの様に頬が紅潮して行く

それを誤魔化す為に俺は再び直ぐに視線を逸らすと、頬を掻いた

そして、脳裏に過ったのは今日の事だった

与謝野に無理矢理連れていかれて、仕方がなくプレゼントを買いに行ったが……猫グッズが集められている一角を見た時、自然と福沢の顔が浮かんでいた

俺は、誰かを想って買い物をするのがこんなにも楽しい事だと少しも思わなかった

……偶には、誰かを想って贈り物をするのも、善いかもしれない

俺は小さく笑みを浮かべながら、皆に囲まれ、プレゼントを受け取っている福沢へと視線を向けたのだった
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