第22章 今の上官は風柱様です!※
「は、っ…く…ッハァ、ハァ…、ッッ…」
部屋には自分の声しか聞こえない。自分の胸には意識を飛ばしてしなだれかかるほの花がいて、無意識に口角を上げた。
こんな幸せを再び感じられただけで、心が満ち足りていて夢心地だ。
ふとほの花を見れば、綺麗な顔に乱れた髪がかかっていてそれを避けてやっても微動だにせずに眠りこけているところを見ると、よっぽど疲れたのだろう。
「…お前、最後のは反則だからな。おかげで今だけって思ってたのにもっと聞きたくなっちまったじゃねぇか…。」
──天元、愛してる
なんて俺を悦ばせることしか効力のない言葉を吐いて意識飛ばすなんざ狡すぎる。あの状況であれば射精せざるを得なかった。
もっと、もっと、もっと…愛でてやれば良かった。
いや、もう無理だったか。コイツの体力的に。
病み上がりだと言うのに無理をさせたのは自分で、胡蝶あたりに知られたら刺されるかもしれない。いや、その前にうちの元嫁達にクナイを投げつけられる。
しかしながら、自分が座っている布団の惨状に目を覆いたくなるのは久しぶりの感覚だ。
己の肉棒を抜いた瞬間、ほの花の蜜壷から夥しい量の水分がダラダラと溢れてきて生温かいと感じたのは先ほどのこと。
今は冷たく体を動かすたびにぴちゃぴちゃと音を立てている。
「…しばらくほの花の布団で寝るしかねぇな。」
洗って乾かして元に戻すのは三日程かかるかもしれないが、そんなことも顔をにやけるのを止めることができない。
ほの花の体を抱えたまま立ち上がるとその布団を足で避けて、予備の布団を敷いてその上にほの花を横たえる。
夜着を着せてやろうにも布団の上に転がっていたことで完全に濡れてしまっていて着せることは叶わない。
(…もういいか、別に。そう寒くもねぇし。)
一糸纏わぬ状態のまま布団をかけてやると、使い物にならない布団を片付けて自分も彼女の横に寝転んだ。
ふわりと香る匂いは待ち望んだほの花の匂い。夜着の残り香とは違う本物の香りが鼻腔いっぱいに広がる。
後ろから彼女を抱きしめるとその甘い匂いに包まれながら微睡に意識を手放した。