第3章 立ち振る舞いにご注意を
「全く意味が分からんなァ。」
「俺も分からねェんだよ。悪いが放っておけ。」
止まっていた手を無理やり動かせば壊した扉は小一時間ほどで元通りになるが、動き出してしまった自分の心は元通りになどなるはずがない。
この小一時間、何を考えていたかなんて言うまでもなく、昨夜のほの花の白い御御足やら真っ赤な顔で悶える姿。
その破壊力故に出来上がった扉にガンと頭を打ち付けてみるが頭から簡単に離れるわけもなく…
「おい、また壊すんじゃねェだろうなァ?お前、何しにきたんだよ。」
「はぁ…、アイツ、何であんな可愛いんだよ…。」
「心の声なら聞こえなかったフリをしてやるがァ…?」
最早心の声では収まりきらない。
本当ならばこの想いの丈を思いっきり叫びたいのだ。
「無理だろ!ひとつ屋根の下で暮らしてんだぞ?!アイツの破壊力やべェんだって!」
「……お前、大丈夫かァ?だいぶ頭イカれてるぞ。」
「なんとでも言え…。アイツに言えない分、俺はこれからお前に言うことにするわ。突然邪魔するけど気にすんなよ。じゃ、帰るわ。」
「ちょ、ちょっと待てェ!ふざけんなァ!」
意図せず心の声がダダ漏れてしまったことで最早想いの丈を言葉にすることへの抵抗がなくなってしまったので不死川に家で溜めに溜め込んだ想いをぶち撒けようと勝手に決めて退散してきた。
不死川が何か叫んでいたが、面倒だったのか追いかけては来なかったのでそのままにしておくことにした。
勝手に作った捌け口により少しだけスッキリした俺は帰ってからほの花となんとか普通に話すことができたが、このままの状態が続くんじゃないかと考えると途方に暮れたのだった。