第22章 今の上官は風柱様です!※
普段なら任務に行って居る時間。
しかも、昼間っから病み上がりだって理由で寝てろと煩い正宗達に部屋に連れ戻されてずっと床の上にいた。
ずっと布団の中にいるならばほの花と一緒が良かった。本当ならばアイツを一日中抱き潰す約束をしていたと言うのに。
残念ながらもう此処にはいない。
二度とアイツをこの腕に抱くことはないのだろうか。そう考えると発狂しそうだ。
昼間、不死川が来て「ほの花を俺の継子にした」と言われて腑が煮え繰り返った。ほの花に酷いことを言ってしまって今更帰ってこいなんて言えないと思っていたが、他の柱の継子になるならば話は別だ。
はっきりと嫌だと感じた。
不死川だろうと
胡蝶であろうと
ほの花を継子にされたくなかった。アイツは俺だけの……継子。
他の誰にも譲るつもりはない。
そこまで考えればやっと自分の気持ちと向き合えた気がする。やはり俺はほの花に此処にいて欲しい。
寝付けない夜を過ごすなんていつぶりだろうか。
ぼんやりと天井を眺めていると"トン"と誰かが瓦を踏む音が聴こえた。
瞬間的に起き上がり、武器を手に取った。しかもその足音はあろうことか庭に降り立ち、縁側に何かを置いたような音が聴こえてきた。その間、わずか数秒のこと。耳を澄ませて侵入者の動向を探るが…
殺気はない。
どちらかと言えば優しい空気感。
少しだけ構えていた武器を下ろしつつ、縁側に向かうが、すぐに再び気配は消えた。
慌てて襖を開けて庭を見るが、そこには案の定誰もいない。
外まで出て行き、辺りを見回してみるがもう既に気配は近くになく、そのかわりふわりと香ってきた匂いに目を見開いた。
「…ほの花…?っ、…ほの花?!」
しまった…、もっと早く出れば良かった…!急いで屋根の上に登ってみてもその姿は確認できない。計画的にきたとしか思えない本当に一瞬の出来事だった。
不死川の家にすぐに向かえば着く前にほの花を捕まえられるかもしれないが、一瞬の迷いが体を止めてその場に止まらせた。
仕方なく、再び庭に降り立つと、縁側に置かれていた包みが目に入った。