第22章 今の上官は風柱様です!※
珠世さんに会ってから一週間が経っていた。
時間が解決すると言うのは本当で、私は少しずつ自分の生い立ちを理解し始めていた。
女として生まれてしまったものは変えられないし、そもそも鬼である珠世さんに協力してしまったことも変えられない。
しかし、それは鬼を倒すためなのだという正義感を加味すればもう致し方ないと言う考えに行き着いた。
となれば、自分の懸念材料は宇髄さんに隠し事をしているというだけで、それに関しては彼が容認してくれている以上、私たちの関係は悪化することもなくむしろこの上なく良好だといえる。
暇さえあれば体を寄せ合い、くっついてくる宇髄さん。
暇さえあれば甘味を買ってきて縁側で一緒に食べる宇髄さん。
暇さえあればいつでもどこでも抱こうとしてくる宇髄さん……
「あ、のーーー!?今なの?!此処!縁側!!そして真っ昼間だよ?!」
「あ?うるせぇな。しょうがねぇだろ。お前がクソ可愛くて勃っちまったんだから。」
悪びれもなくそう言い放つ宇髄さんだけど流石に此処で押し倒してきたのには驚いて彼の胸を思いっきり押して抵抗する。
「ちょ、流石に…!こ、此処は!部屋…!いや、よ、夜にしましょう!」
「やだね。どうせアイツら六人で買い物行くとか言っていねぇじゃん。それに夜は任務だっつーの。」
だとしても…!
だとしてもだ。此処は外。もちろん彼の屋敷の敷地内で塀で覆われた大邸宅では外からこの行為が覗かれることはないだろうし、誰かが入ってきたら宇髄さんの耳の良さなら直ぐに気づく。
何をしていたかと言うと薬の調合に一息ついたところに宇髄さんが甘味を買って帰ってきたので、縁側でお茶を飲みながら一緒に食べていただけ。
そう、食べていただけだ。
大好きな豆大福を十個も買ってきてくれて顔を綻ばせながら食べたのは五個目まで。
後ろから抱きしめられたかと思うと、急に唇が降ってきて口づけをされた。
軽い口づけならばいつもするので難なく受け入れてしまうと、今日はそのまま隊服の中に手を差し込んできたので驚いて…今に至る。
誰もいないから良いと言う問題ではない。
流石に昼間っから外で抱かれる趣味はないのだ。