第20章 未来花嫁修行※
「お前、本当に大丈夫か?目の下クマ出来てんぞ?ほの花も寝ようぜ?」
「まきをさんからも言われたけど、私、別に今日は寝不足じゃないから大丈夫だよ。」
「そうかもしれねぇけど、添い寝はしてくれんだろ?だったら一緒に寝やぁいいじゃん。」
困ったように笑うほの花の手を引いて、敷いてくれたと言う布団に向かうため自分の部屋に入る。
ふと目に入ったのは枕元に置いてある茶器。それはいつも疲れた時に淹れてくれる薬膳茶で、味はイマイチだが、確かに物凄く疲れが取れる代物で仕事後に飲めるのは確かにありがたいが…。
「あ、それ良かったら飲んでね。冷えちゃったかな。淹れ直そうかな…。」
そう言って慌てて薬膳茶の温度を確かめるほの花。茶器を手に持ち、温度を確認するとこちらを見て苦笑いを浮かべる。
「先に夜着に着替えててー。ちょっと淹れなおしてくるから。」
「待ぁーった。」
部屋を出ていこうとするほの花の腰を引き寄せると手に持っていた茶器を奪い取って一気に流し込んだ。
「ふぅ、ご馳走さん。あのな、別に熱くなくてもいいし、ちょうど飲みやすい温度だったぜ?」
「え、で、でも、寝る前は温かいものの方が体に良いし…。」
「医学的なことは分かんねえけど、それよりも俺はお前との時間が大事なの。ほら、添い寝しろよ。な?」
茶器を置き、恥ずかしげもなく隊服を脱ぎ捨てると準備してくれてあった夜着に袖を通す。
何度も裸など見ているはずなのにこちらを見ないように小さくなっているほの花を見ると笑いが込み上げる。
(…いつになったら慣れるわけよ、お前は。)
それにしても今日は至れり尽くせりだ。
確かにここ最近、ほの花がやたらと自分に尽くしてくれているようには感じていたが、今日は特に感じる。
いつも通りで良いというのに彼女は真面目な性格だ。どうせまた頭の中で余計なことを考えてしまっているのだろう。
帯を締め終えるとほの花の体を抱き込み、そのまま布団になだれ込む。
ふんわりとした甘い香りに性欲が刺激されそうだったが、本来の目的を思い出すと彼女の背中を撫でて眠りに誘った。