第18章 まだ見ぬ先も君といたい。※
今日は久しぶりのお休み。
なのに…宇髄さんは任務に行ってしまっているので仕方なく町を散策しようと思って出てきた。
家にいてもあの6人はそれぞれで楽しそうにしてるし、それこそお邪魔虫はできないというやつだ。
よく考えたら恋仲になってからあの実家に帰省した時以来、一度も二人で休みを過ごしたことはない気がするが、柱である彼は私よりも遥かに忙しいのだから仕方ない。
おやつでも買って帰ろうかなと思い、食べ物屋さんを見繕っていると「泥棒ーーーっ!!」と言う声が聞こえてきた。
その声の方に振り向くと小さな少年がこちらに向かって全速力で走ってきている。
手にはたくさんの食べ物が握られていて一心不乱に手足を動かしている。
その後ろからは店主のおじさんが般若のような顔をして追いかけてきていた。
仕方なく、その子を捕まえて抱き上げると「やめろーー!!」と暴れて足で蹴ってくるが、こちらも鬼殺隊の一員だ。
それくらいの攻撃痛くも痒くもない。
「盗んだら駄目でしょう?ちゃんとお金を払わないと。」
「っ、うるせぇな!払えたら払ってんに決まってんだろ!母ちゃんが病気で食べるもんもねぇんだよ…。」
強気に睨みつけてくるが、母親のことを口にした時だけ一瞬だけ泣きそうになっていたその子を見て胸が締め付けられた。
そして、貧富の差はあるのはある程度は仕方ないと思う一方で、継ぎ接ぎだらけで破れてしまっている着物に足は裸足のその子を見るととても放っておけないと感じてしまった。
こういう時、あまり首を突っ込むのは良くないのかもしれないが、それならばこの子を捕まえなければ良かったのだ。首を突っ込んだのであれば最後まで面倒見なければ…。
謎の責任感が頭を埋め尽くして、彼を追いかけてきた店主が目の前に着いたことで向き合った。
「はぁ、はぁ…、嬢ちゃん、助かったよ…、この餓鬼ぃ…。盗んだものを返してもらったら警察に行くから来い!」
私が抱き上げてる子の手を掴みあげようとしたその人に向かい、恐る恐る声をかける。