第16章 子犬のワルツにご注意を※
「あ、ああ!私ですか?!私は本当に一瞬だけで!何ともありません!すみませんでした。」
宇髄さんからのお咎めが思ったよりも少なくてホッとしてしまった。心配かけたのは間違いないのだが、彼の表情から先日の手拭いの件ほどの怒りは感じられない。
どちらかといえば呆れている…そんな表情。
「あのなぁ…、犬っころの怪我が治ったことはいいけどさ、お前が体調悪くなることは俺は望んでねぇの。分かってんの?」
「わ、わかって…」
「ねぇよなぁ?ほの花ちゃん?犬っころの家は明日俺が作ってやるから取り敢えずお前の部屋に置いてこい。そして置いたら此処にこい。」
「え、…?は、はい。」
「…夜は長いからな。犬っころにお前の裸見せるわけにいかねぇだろ?ソイツ雄だし。」
ニヤリと笑っている宇髄さんにヒュンッと背筋が凍りついた。
「…えっと、許してくれたのではないんですか?」
「許したぜ?何だよ、俺は任務帰りでほの花不足なの知ってんだろ?お仕置き的なのが無くても普通にお前のこと抱く。」
彼は本気だ。
目がギラギラとしている。
しかしながら、彼とのその行為が嫌いなわけではないし、むしろ刺激によって快感で意識を飛ばすこともあるほどなのだから身体的には求めているのかもしれない。
情交がなくても宇髄さんと抱き合って寝るのはほぼ毎日のことだったし、それが此処三日なかったと考えると私も彼と共にいたいと言うものだ。
「…私だって寂しかったです。此処で宇髄さんの匂い嗅いじゃうくらい。」
「俺もお前の匂いすげぇ好き。早く置いてこいよ。抱きたくて仕方ねぇんだよ。」
色気がダダ漏れの宇髄さんは気怠い表情で耳元で囁くからそれだけで下半身が湿り気を帯びた気がする。
こんなことで濡れるなんて痴女すぎる。
でも、どんな私でも受け入れてくれるという安心感と今から彼に愛されるのだと思うだけで私の鼓動は高鳴ってしまうのだ。
私はころのすけを急いで自分の部屋に行くと、木箱の中に入れてやると、手拭いを布団がわりにかけた。
不思議そうにこちらを見ているその子を優しく撫でると「おやすみ」と言い再び部屋を出る。
浮き足立つのは結局のところ彼との触れ合いが
私も好きだと思っているから。