第15章 君が生まれた日※
春ももう間近だと言うのに未だに寒い日が続いている。
朝方は布団をかぶっていても寒いと言うのに、今日は暖かい。
まるでお日様の中にいるみたい。
この感覚は知っている。大好きな人の温もり。
目をゆっくりと開けると飛び込んできたのは隆々の筋肉。頭の下にはこれまた逞ましい腕。
彼に抱きしめられて寝ていたのだろう。
何も身につけずに朝を迎えるのはとても久しぶりに感じた。
下腹部には身を少しの捩るだけで鈍痛。
生娘の時ほどの痛みではないが、彼と二度三度情交をする時は大体体は動かない。
チラッと見上げると綺麗な寝顔が飛び込んできて思わずにんまりと笑ってしまう。
(…綺麗な顔…。)
いつも私の方が起きるのが遅くて、朝彼に見つめられて起きるのが定番だったのでこうやって寝顔を見ることは初めてかもしれない。
気を許してくれているから一緒に寝てくれるし、寝顔も見せてくれるのだと思うと嬉しくてどんどんと顔がにやけてしまう。
誕生日を言い忘れて怒らせてしまったのは申し訳なかったが、こんな無防備な宇髄さんをみれただけで天にも昇る心地だ。
いつも大人の色気たっぷりなのに寝顔は少し可愛い。そんな彼を見ていると唇に目がいってしまい、急に顔が熱くなった。
(…あの…唇でいつも口付けされるんだ…)
宇髄さんの口づけが大好きなのだが、いつもは自分から彼にすることはない。
何故かって恥ずかしいからに決まっているが。
でも…今日は無防備に寝ているし、少しくらい自分から口付けてもバチは当たらないだろう。
ほんの少し触れる程度なら気付かないはず…。
そう思い、ゆっくりと身を乗り出して触れるだけの口づけをする。一度するともう一度したくなってしまって、再び唇を落とすと急に腰を掴まれて引き寄せられた。
唇は彼の唇にくっついたまま、バチっと目が開いた宇髄さんの目は穏やかだった。
ほんの少しの出来心で口付けただけなのに、口内ににゅるりと入ってきた舌に驚いて体を離そうと試みるが、彼の力に敵うはずもない。
私は息も絶え絶えになるほどの甘くて深い口付けを受けながらボーッと宇髄さんを見つめることしかできなかった。
(…嫌じゃないから拒否することもないもん…。)