第11章 ヨリミチトキミノミチ※
行きは意気揚々と宇髄さんを案内してきたと言うのに帰りは泣き腫らした不細工な顔をしながら彼に手を引かれて歩いているなんて格好悪いことこの上ない。
前を歩く宇髄さんはそんなことは気にもしていないのか鼻歌なんか歌いながら片方の手で大きな荷物を持ってくれて、もう片方の手は私の手を握ってくれている。
私はと言うと…
小さな鞄をお洒落の一部程度に持っているだけ。
非常に申し訳ない。
産屋敷様は実は私たちに一週間の暇をくれていたのだが、彼の俊足のおかげでここまで僅か二日で来れて、此処からはゆっくり帰ったとしても三日で帰れる。
そう焦ることもないのが分かっているからか私を抱えて走る素振りは見せない。
いや、まだこの山奥にある里から町に出る途中だからと言うのもあるかもしれないが…。
「なぁ?ちょっとだけ帰り寄り道しねぇ?」
急に後ろを振り向いた彼はにこやかな表情でそんなことを言うものだから驚いた。
柱なのだから早く帰らなくて良いのだろうか?
宇髄さんはこう見えて結構任務には真面目に取り組むし、産屋敷様に忠誠を誓っているのか彼の為にならないことは絶対にしない。
だから早く帰らなければと思っているのは私よりも彼の方が強いと思ったからだ。
「…え?でも…早く帰らなくていいんですか?」
「寄り道っつっても通り道沿いにあるんだ。どうせゆっくり帰っても一週間より早く帰れるんだ。少しくらい寄り道したってバチは当たらないぜ。」
「そうですか…?宇髄さんがいいなら私は良いですけど…。」
「じゃ、決まりな!」
宇髄さんが嬉しそうに笑ってくれるから私まで嬉しくなってしまう。
寄り道とは何処なのだろうか?
行きよりも重い荷物に私まで抱えて走って帰るなんてことになったらそれこそ申し訳なさ過ぎて若干凹みそうだったので、少しだけホッとしたような気もしていた。