第51章 【番外編】そこにあるのは無限の愛※
私の目が覚めたのは翌朝のこと。
案の定、発熱していて、体も鉛のように重い。
隣を見ると天元の姿はない。
でも、その代わりに枕元にはお茶と薬が置いてあった。
──トン
「あ、目が覚めたのね。おはよう。大丈夫?」
開かれた襖の向こうにいたのは雛ちゃん。
体を起こしていた私を見るなり心配そうに近づいてくる。
「うん、おはよう。ごめんね、また熱…」
「今回は仕方ないわ。天元様にお風呂でされちゃったんでしょ?もう〜!病み上がりなのに!嫌なら断ってもいいんだからね!」
「え、あ、え…」
「大丈夫!お仕置きなら私たちがしておいたから。昨日お風呂も沸かし直してもらったし、お風呂掃除もしてもらったし、朝も庭の掃除してもらったの。暫くはまた天元様に甘えてゆっくりしてね?」
額を冷やす用の水を変えてくれると、『お粥作ってくるわね』と雛ちゃんは足早に出ていってしまったけど、私は恐らく顔面蒼白だろう。
昨日、彼に情交を強請ったのは私の方。
天元は受け入れてくれただけ。
何も悪くないのに、何も言わずにお仕置きを受けてくれた天元に申し訳なさが募る。
でも、それと同時に彼の優しさも身に染みて伝わってきて顔が緩んでしまうのも分かった。
「…ありがとう…、天元。ごめんね…?…大好き。」
部屋の中で誰にも聞かれることなく呟いたその言葉がまさか外で柱稽古をしている天元に聴こえたなんて思いもしなかった。
それを知るのはその日の夕方のこと。
息も絶え絶えな口づけをされると、大好きな彼がそこに居た。
これは私たちの再出発のはじまり。
今も昔もこれからも変わらないのは心から愛した彼のぬくもりと言葉にならない彼への想い。
いつだってそれが道標
そこにあるのは無限の愛