第51章 【番外編】そこにあるのは無限の愛※
「はぁ、はぁ…、はぁ…。」
息が荒いのか、ため息なのか分からない。
最後の最後に愛の言葉をぶっ放してきたほの花に直前で膣内射精しそうになってしまった。
「…あ、ぶね…。おい、不意打ち、やめろ…はぁ…」
くたりと俺の胸にしなだれかかるほの花はボーッとしていて今にも瞼が閉じようとしていて会話になりそうにない。
「…お前な、可愛すぎんだよ…。出す直前にド派手に煽ること言うなっつーの。」
胡蝶から暫くは妊娠させないように口酸っぱくなるまで言われている。
出産に体がついていかないからだ。
体への負担も考えて経口避妊薬も飲まないことになった。
要するに情交で妊娠する可能性は十分にあると言うことだ。俺自身は早くほの花と子を持ち、穏やかな生活を過ごしたいと思うこともあったが、そんなことを聞かれたら二人だけで全く構わない。
ほの花がそばにいればそれだけで満たされるから。
ぐったりとしているほの花の体をもう一度湯船で温めてやるが、そこで衝撃的な事実を思い出してしまった。
いや、何ならもっと早く気付かなければならなかったこと。
ほの花から誘われて嬉しくなってうっかりして失念していたのは間違いない。
「…あー…やべ…。風呂沸かし直さねぇと…アイツらにドヤされるな。」
そう。
一番風呂に入らせてもらってたくせに風呂でヤった挙句にお互いの液を湯水の中に垂れ流してしまったからだ。
しかし、腕の中でスヤスヤと眠りにつき始めたほの花を見ると心が穏やかになっていく。
久しぶりに記憶の戻ったほの花との情交はたった一回でも十分に心の距離を詰められた気がしたから。
「…仕方ねぇなぁ?後始末は俺がしておいてやるよ。」
最初からさせるつもりなどなかったが、そんな風に少しだけ意地悪を言ってしまうのもいつものこと。
日常はすぐには元には戻らない。
あの頃、愛し合った俺たちに戻ることはない。
新たな形で更に進化した感情を上乗せして俺たちはまた愛し合って行く。
昨日より今日、今日より明日。
どんどんほの花が好きになる。
俺は意識のないほの花を抱き寄せると優しく頭を撫でてやった。