第51章 【番外編】そこにあるのは無限の愛※
そうとなってしまえば、ほの花を抱き上げて体を冷やさないように湯船に体を浸からせた。
俺は良い。
出血多量でも立って帰れるくらいには頑丈だから。
だが、ほの花は違う。
治癒能力の負債が中から抉るように体を虚弱にしてしまっている。
少しでも無理させればまた床に臥せるだろう。
記憶が戻っていないほの花を一度抱いた時も翌日熱を出させてしまったのは記憶に新しい。
「止まらねぇぞ?いいのか?」
いま一度ほの花にそうやって問えば、ニコッと微笑み大きく頷く。
ドクンドクンと聴こえるのはほの花の心音だけではない。俺も同じくらい心音が煩い。
好きな女を抱けるという気持ちが昂ってしまい、触れる手がどうしようもないほどに震えてしまう。
思えば記憶が戻ったほの花を抱くのは実に何ヶ月ぶりか?
気持ちが昂るのは仕方ないだろう。
再び口づけをしながら、震える手でほの花の体に触れる。
肩から腰に…優しく撫でているとそれだけで蕩けた表情が色濃くなるほの花に俺の情欲も上乗せされる。
触れたかった。
ずっとずっと。
愛おしいほの花に触れたくてたまらなかった。
落ち着け、落ち着け…と自分を制してはいても、俺の体は正直だ。
唇から首筋に舌を這わせれば、『んっ…』と甘い声が漏れ出た。
それを聴いてしまうと腰に触れていた手が性急にほの花の胸に触れた。
触れたくて触れたくて仕方がなかった。
柔らかくて豊かな其れだが、何ヶ月も生死を彷徨っていたことで全体的に線が細くなってしまった。
恐らく其れを気にしているのか少しだけ恥ずかしそうに身を捩り、視線を彷徨わせるほの花に俺は口角を上げた。
(……馬鹿な奴。)
そんなことこの俺が気にするとでも思っているのならば心外だ。
ほの花ならば髪の毛一本まで愛でることができる俺が体型の変化にあれこれ思案する筈がないだろう?
白い首筋を強く吸い込み、甘噛みしてやると赤い華が美しく咲いていく。
どんなほの花も俺のもの。
誰にも触らせない。
俺だけのものだ。