第50章 【番外編】溺愛はほどほどに
天元が肩から子猫を下ろしてあげると、嬉しそうに親猫に駆けていくその姿に私たちの顔は緩んでいく。
「また来てね〜。」
「もう来なくていいぞ〜。」
「もう!そんな憎まれ口!!」
「お前に触れる男は俺だけで良いだろ?!それとも何だよ。他の男に触れられたいっつーのか?!」
斜め上の考えを繰り広げる天元に私もお手上げだ。
でも、そんな風に言ってくれるのも私を愛してくれているからだろう。
そう考えるとそんな言動も心地がいい。
「ううん。天元、助けてくれてありがとう。天元以外に触れられてすっごく嫌だった。」
さっき知らない人に触れられて本当に嫌だったし、天元が来てくれて嬉しかった。
やっぱり私は彼にいつだって守られてる。
それは本当に本当にありがたいことだ。
そんな日常に感謝しかない。
「当たり前だろーが。俺の女に触れることは万死に値する。」
「あはは…刀折った時の鋼鐡塚さんみたい。」
「テメェ…こんなときに他の男の名前を出すなんざ…良い度胸だなぁ…?」
だけど、彼の地雷をまだまだ理解できていない私が彼をこんな風に怒らせてしまうのもまた日常。
ニヤリと笑った天元が私の腰を引き寄せるとふわりと体が浮いた。急に来た浮遊感に彼の首に掴まると、彼の唇に再び塞がれた。
「っん…!」
「さーて、昨日の分も頂くとするかねぇ?下がびしょ濡れなの俺が気付いてねぇと思ってんのか?さっきの口づけで濡らしてるくせによぉ?なぁ?ほの花ちゃん?」
耳の良い彼にそんな隠したい事実を言い当てられてしまうのもまた日常。
大切な大切な彼に溺愛してもらえるそんな日常が私の宝物。
だけど
翌日以降の腰痛と膣痛だけは慣れないから程々にして欲しいと思いながらも受け入れてしまうのは、天元を私も溺愛しているから。
「あーーーーん、腰が痛いーーー!!お股ヒリヒリするーー!!!」
「ご、ごめんって…。つい…!」
「もう、一週間シない!無理!!」
「は?無理無理無理!!干からびるぞ?!干からびても良いのか?!」
「知らない!!!」
「ちょ、お、おい…ほの花ちゃーん…」
そして翌日のこの会話もまた日常のこと。