第49章 【番外編】色褪せない想い【現パロ】※
「…ん…」
目が覚めると、そこは逞しい体のお布団。
天元の上に乗ったまま眠っていたようで、目に飛び込んできたのは彼の筋骨隆々の体。
100年前から見慣れているはずなのにいつ見ても恥ずかしくて目を逸らしてしまう。
しかし、目を逸らしたことで壁にかけてある時計が視界に入ると、私は勢いよく起き上がった。
「ん……?どうした…?」
「8時半?!」
「へ…?……は?」
いつも朝は6時台に起きる私。
何故ならば8時半から就業開始だからだ。
8時には職場に着いていると言うのに、今、8時半と言うことは……
「……やっ、べー…」
どうやら天元も同じ状況なのだろう。
だが、のっそり起き上がったかと思うと呑気に私の額にキスをする彼には"焦り"は感じられない。
「全然、やばそうじゃなーーい!!で、電話しないと!!」
「だってよ、今更焦っても遅刻は確定だしなぁ〜ほの花が此処にいることの方が重要なわけ。」
そう言って柔らかく笑う彼に顔が熱くなってしまう。
ああ、やっぱり私は彼が好きだ。
100年前から変わらず、心を奪われて、ずっとずっと好きだったのは彼だけだった。
「も、もう…!とにかく電話しないと…!」
いつもはスマホのアラームできっちり起きると言うのに、今日はスマホのアラームにすら気付かないほど彼との行為に没頭してしまっていた。
心を奪われるとはこう言うことを言うのだろうか。
私はスマホを手に、慌てて遅刻する旨を伝えると『病み上がりなんだから午後からゆっくり来て』と優しい言葉をかけられた。
まさかヤり過ぎて寝坊してなんてとても言えない状況だが、ありがたくそうさせてもらうことにした。
それにしても身体中、どちらの液だかわからないものが付着したのだろう。
ベタベタしていて気持ち悪い。
服をかき集めてお風呂に向かうと、同じように学校に遅刻する旨の電話をかけるためにリビングに行っていた天元が近寄ってきた。
「お、オレも入る、入る〜。」
意気揚々と後ろから抱きしめてくる彼もまたやはり肌がベタついている。
昨日の出来事を思い返すと恥ずかしいけど、背中から感じるこの体温をもう離したくないと思うのもまた仕方がないことだ。