第48章 【番外編】宇髄家のこんな一日
宇髄家の1日はとても賑やかだ。
体調不良を起こして以来すっかり朝が弱いほの花をのんびり待つ天元達夫妻をよそに庭では須磨と大進が掃除をし始める。
「大進様ぁ!見て見て!あそこに燕が巣を作ってる!!可愛いですねぇ!あああああ!!でも、糞がたくさん落ちてるぅ!!」
「まぁ、仕方ないですね。明日にはきっとまた元通りですが、掃除だけしましょう?須磨、箒と塵取りを持ってきてくれますか。」
「分かりましたぁ!!」
朝から元気な須磨を落ち着いた大人の立ち振る舞いで接する大進は須磨に指示を出す。
天真爛漫で素直な須磨が素っ頓狂なことを言い出しても否定することなく、優しく包み込んでくれるのが須磨は凄く心地よいと感じていた。
指示通り箒と塵取りを持って来れば、受け取る大進の手が少しだけ須磨に触れる。
「あっ…!ご、ごめんなさい!!」
ただ少し触れただけ。
でも、朝の清々しい空間で手が触れてしまうと昨夜の行為を思い出してしまうのは誰でもよくあること。
「須磨。ありがとう。」
恥ずかしさから赤面する須磨と違い、此処でも大人の対応してをする大進に今度は少しだけ不満気なのは須磨だ。
夫婦になってはいるが、自分ばかりが意識してるみたいに感じるとどうも釈然としない。
受け取った箒と塵取りでニコニコしながら掃除をし始める大進を須磨が後ろから口を尖らせて見ている。
こう言う時、不満をちゃんと露わにする須磨は分かりやすくて大進的には可愛いと思ってしまうのだが、当の本人は切実だ。
「(むぅーーー…)」
「…須磨。何で睨んでるんですか?」
「だ、だってぇ…!私は…、手が触れただけで大進様に未だにドキドキするのに…!大進様はちっともそんなことないから…。不満ですぅーー!」
はっきり不満だと返せば、持っていた箒と塵取りをその場に置き、大進は振り返る。
「やれやれ…」と口では困ったように言ってみる大進だが、内心はそんなことは思っていない。
優しく笑いながら須磨の頭をポンポンと撫でると視線を合わせる。