第47章 【番外編】貴方とならばどこへでも※
だから嫌だと言ったのだ。
うっかりほの花を放牧すれば、あいつは必ず声をかけられる。
身長が高いことを随分と気にしているが、正直そんなことは大した問題ではなかったりする。
それが帳消しになるほど、綺麗な顔をしていているからこちらは心配で仕方ない。
今までだってほの花が外出すれば心配は絶えなかったが、鬼殺隊の音柱として昼夜を問わず忙しかったこともあり、そこまで気にしてやれなかったと言うのもまずかった。
平和を取り戻したら、それはそれでほの花のことが四六時中気になってしまうのだから。
細い首筋に吸い付けば「んっ…」と漏れ出る声ですら俺の中の雄がムクムクと大きくなっていく。
怒りに任せて抱きそうになっているのを何とか理性で押し留めているが、本当ならばめちゃくちゃに抱いてしまいたい。
それができないのはコイツのことがやはり大切だからだ。
「っ、あ、…!や、ぁ…!」
先ほど一発部屋風呂でヤったばかり。
首やら背中やら胸元やらには俺が吸い付いた痕が生々しく残っているのだが、ほの花はうっかりそんなことは忘れて大浴場に行ってしまった。
女相手ならば、見られたところでなんの効力もないが、ほの花が少しばかり恥ずかしい想いをしたかと思うと若干の申し訳なさが募る。
どうせならば先ほどみたいな不埒な男に見せつけてやるためにつけたと言うのに。
運良くなのか、運悪くなのか、きっちり浴衣を着て仕舞えば良い感じに隠れてしまうその所有印の位置だ。
あの男が見えなかったのは自分の責任でもあるため、強くも言えない。
本当ならばあの男をボコボコにしてやりたかったが、それすらできずにいまに至る。
既に帯を取り払い、一糸纏わぬ姿のほの花を立たせたまま上から順に口付けていく。
ちゅ、ちゅ…と唇を這わせれば風呂上がりの桃色の肌がもっと赤く染まっていくのがたまらなく嬉しい。
「…っ、て、てんげん…!はずかし、…な、中はいろ…?だれかに、聴こえちゃ…」
「聴かせてやればいいだろ?」
聴かせてやるなんて勿体無い。
でも、煽情的な表情でこちらを見ているほの花に俺は欲望を止めることができなかった。