第45章 【番外編】かまぼこ隊まぐわいを知りたい!の巻
「あ、あの…さ、最初は接吻、ですか?」
伊之助との話がひと段落すると今度は炭治郎がおずおずと手を挙げて天元に質問をする。
抱きしめ合った次は一体どんなことをすればいいのか?
結局のところ雰囲気だけでなく、手順もわからない三人。
頼りになるのは天元だけだ。
「ん?ああ。そうだな。この前みせたろ?接吻は。あーゆーのを何回も角度を変えてするのもいいし、だんだん深いものに変えていくのもいい。」
「深いもの…?」
「舌をさ、絡ませんの。相手の舌と。」
実際に舌をペロペロと出す天元に見よう見まねで炭治郎も出してみるが、そこには空気のみで大した練習にはならない。
「これくらいだったらほの花に頼みてぇところだけど、うっかりこの前おまえらの前で口付けて俺はあの後三日お預けを食らった。悪ぃが空気で我慢しろ。」
「ぶっ!ハハハハッ!何だよ、おっさん!お預けくらったのか?!かっこ悪ぃな!!」
「うるせぇーーー!!テメェらのために一肌脱いでやったのによ。もう教えてやらねぇぞ!!せいぜい一人で好きな女思い浮かべて抜いてろ!!!」
「……スミマセンデシタ。」
いつもは好戦的な伊之助ですら今日は天元に太刀打ちできない。
それどころか頭も上がらない。
しかしながら、天元はこの時、この場にほの花がいなくて良かったと心底思っていた。今のは流れで深い口づけをしてしまうところだった。
天元とて可愛い嫁を見せつけたい気持ちもあるし、柱を引退してからは後輩の指導を担って来たのだ。
何とか後輩に威厳のあるところを見せたい気持ちもあったから。
人知れずホッと胸を撫で下ろすのを悟られたくなくて、伊之助の失言にも目を瞑る。
「ま、そんで…接吻したらそのまま首筋に口付けるか舌で舐めてやると反応がわかる。その時、顔赤くしてピクって反応しやぁその気になってっから続ければ良い。」
「て、手はどの位置に…!?」
「お前…そら雰囲気だろ。肩でも腰でもいいし、乳でも揉んでもいいんじゃねぇの?」
「ち、乳房を!?も、揉む?!?!」
「……お前、これからまぐわうんだろ?女の体触んねぇと話になんねぇぞ…。」
炭治郎の初々しさに若干遠い目をする天元だが、乗りかけた船だ。
最後まで面倒見てやろうと息を吐いた。