第45章 【番外編】かまぼこ隊まぐわいを知りたい!の巻
「「「こんにちはーーー!!!」」」
「……チッ、嫌な予感がすんな…。」
「ど、同感…。」
これはある日の宇髄家のお話。
天元とほの花が縁側で日向ぼっこをしていた時のこと。
宇髄家の縁側は南向きに面していて、最近の夫婦の楽しみは此処でお茶を飲みながら豆大福を食すこと。(ほの花のみ)
麗らかな昼下がりにまたもやよく知る声が響いたので二人は背筋を正して顔を見合わせた。
「…またあの三人かよ…。」
「わ、私はもう何にもしないからね?!こ、公開処刑はいやだよ?!」
「(…つーか、今日はそんなことすらできない内容な気がすんな…。)おー…とりあえず茶頼むわ。」
「う、うん。分かった。」
二人の横に置かれていた茶器を持ち、ほの花が炊事場に向かったのを見送ると天元は立ち上がり玄関に向かう。
三人と会ったのは一月ほど前のこと。
要するにそう日も経っていないのに再訪問ということにあの日の会話の内容が甦る。
(…確か逢瀬の誘い方聞きにきて、接吻も教えてやったんだったよな…。つーことは…?)
天元が頭の中であれこれと思案しながら玄関に向かうとそこにいたのは例の三人に相違なくて苦笑いをする。
「おっさん!また来たぜ!!まぐわいの仕方教えてくれ!!!」
「い、伊之助!もっと間接的な言い方しろよなぁああ!!ほの花に聴こえたらどうするんだよぉ!引かれるぞ、絶対!」
「お!俺は長男だから我慢できるんですけど…!念のために…来ました!!」
「…お前らなぁ…?ちゃんと逢瀬と接吻はできたのかよ?」
天元の顔を見るや否や矢継ぎ早に玄関でわちゃわちゃし出す三人に深いため息を吐く。
しかし、天元の大方の予想は的中。
眉間を押さえながらもどうしたものかと考えを巡らせるが、三人の曇りなき眼を見てしまうと断るのも気が引ける。
本当ならば『他を当たってくれ』と言うべきところだが、可愛い後輩の願いだ。
恐らく自分が一番聞きやすいと思ってくれてのことだと考えると無碍にもできずに、仕方なく再び客間に通すことにした。
(…ほの花にまたドヤされるかもしんねぇな…)