第41章 【番外編】「娘さんを下さい‼︎」※
しかし、俺も義両親にきちんと事実を伝えておかなければならないことがある。
ほの花の体を気にしている二人のことだ。
使い過ぎた理由について俺の口からちゃんと言いたい。
「…あの能力を使い過ぎた理由を…ほの花から聞いていますか?」
「いや?詳しくは聞いていないよ。輝利哉くんが教えてくれただけで、ほの花からは聞いていないんだ。」
宗一郎さんは猪口を持ったまま笑みを浮かべたまま灯里さんと顔を見合わせた。
ほの花はわざわざ言わないだろうと踏んでいたら。
お館様も言っていないのであれば、永遠にそれは隠し通せてしまうことだが、俺は言いたい。
言わなければならない。
「…俺の、ためなんです。申し訳ありません。」
"俺のせい"と言いかけたが、直前で言葉を変えた。ほの花とそのことについては話がついているし、蒸し返すことはしたくない。
俺のためにやってくれたことを俺のせいと言ってしまえばほの花をまた気に病ませてしまうからだ。
もうそのことは済んだこと
どんなほの花であろうと娶る気持ちは変わらない。
「あら。やっぱり!そうじゃないかと思ったのよ。天元さんの怪我か何かを治したのかしら?それならあの子も本望でしょうよ。謝る必要ないですよ。」
「天元くん、そんなこと言わなければ分からないのに律儀だなぁ。」
「大切な娘さんがそのせいで体を壊している事実はどうしても伝えなければいけないと思っていました。少しずつ回復してきていますが完全に治るかどうかはまだ…わかりません。」
亡くなった胡蝶は徐々に回復していくだろうという予測をしていたが、生身の人間のことだ。多少のずれはあるだろう。
ほの花の治癒能力については本人はおろか、目の前にいる両親ですら確かなことは分からない様子で肩を落とす。
神楽家に女児が生まれるのは100年ぶりのこと。
伝承されていることもそこまで多くないだろう。
何故なら女児は漏れなく早逝だったから。
理由は主に二つ。
鬼に狙われて殺されるか治癒能力の使いすぎだ。
今回もまた後者に当たってしまうのではないかと俺は気が気でなかった。