第41章 【番外編】「娘さんを下さい‼︎」※
「天元さん、本当にあの子でいいのかしら?」
それは俺を責める発言ではない。
むしろ俺の様子を窺うような言葉。
申し訳なさそうな表情からはほの花の体を心配しているよりも俺のことを気にしてくれているようにも感じた。
「…それは、どういうことでしょうか?俺は…ほの花以外考えられません。」
ほの花を愛している。
他の誰でも代わりにはならない。
大切な彼女を幸せにしたい。俺の希望はそれだけだからだ。
「"あの力"の使い過ぎて、体を壊していたんでしょう?私たちですらどんな弊害があるのか分からないの。それでも…あの子を娶ると言ってくれるの?後悔、しない…?」
ああ、やはりこの人たちはほの花の両親だ。
自分達のことよりも俺の未来のことを心配してくれている。
力を使い過ぎたことが寿命に関係しているのか誰もわからない。
だいぶ体調は良くなってきたが、これからどうなるかは分からない。
何もかもわからないのにそれでも俺はほの花以外考えられない。
こんな風に俺の身を案じてくれる義両親を持てることも本当に嬉しいし、この二人のためにもほの花を幸せにしたい。
未来を悲観していては人生が楽しめない。
どんな未来が待ち受けていようと今を楽しみたい。
せっかく鬼のいない陽だまりの世界に辿り着いたのだ。
「…後悔など誰がしましょうか。自ら欲しくてたまらない女子を娶ることは何よりも幸せなことです。逆に問いたいです。俺でもいいでしょうかと。」
俺の問いに二人は顔を見合わせると大きく頷いて、目尻を下げる。
「もちろんよ。不束な娘ですが…、どうぞよろしくお願い致します。」
「可愛いんだけどなぁ、末っ子だからか少しばかり泣き虫でね。甘ったれかもしれないが、宜しく頼むよ。」
「…いや、そんなことありません。つい最近までほの花は俺にあまり甘えてくれなくて随分苦労しました。我儘を言ってもらえることに喜びすら感じるので気にしないでください。」