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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第41章 【番外編】「娘さんを下さい‼︎」※





「なぁ、そろそろさ。挨拶に行きてぇんだけど。」


「え?誰に?」



最終決戦から数ヶ月後、突然天元がそんなことを言い出した。
挨拶とは?
「おはようございます」やら「こんにちは」やら誰にでもする日常の其れと思いきや、私の返事に顔を引き攣らせたところを見るとどうやら違うらしい。

遥かに高い上背から見下ろされるのはよくあることなのだが、穏やかではないその様子に私は苦笑いをするしかない。


「え、…?あ、挨拶?」


「挨拶って言ったら決まってんだろ?お前は馬鹿なのか?」



そうは言われても突然そんなこと言われても思いつくことは少ない。
顎に手を置き、頭を捻らせてみるが、ちっとも思い浮かばない私は下から彼を見上げることで許しを乞う。
どう頑張ってもこれ以上ない袖は触れない。


「…その顔すりゃ、俺が簡単に堕ちると思ってんだろ。……堕ちるけどよ。」


「…だ、だって…思い浮かばないんだもん…」


「俺たち晴れて結婚すんだよな?」


「え…?あ、う、うん。天元が良ければ…」


「いいに決まってんだろ?!お前、この俺様がどれだけ待ったと思ってんだよ?!」



いや、そうは言っても出会ってからまだ一年半程しか経っていないのだから特別待ったかと言われたらそうでもない。
ただ私たちの中では本当にたくさんの障害があった。

それが全て無くなったからこそ今がある。
"今"はあの時はぼんやりとしか思い描けなかった私の"望んだ未来"だ。


嬉しくないわけがない。



「は、はい!そりゃあもう!私も待ち望んでいました!!」


「だったら挨拶って言やぁ、お前の親に挨拶に決まってんだろうが!!」


「……へ?……あ、ああ!!」



結婚したくないわけではない。
むしろしたい。

でも、私は本当に里では男性に縁がなくて、そう言う流れがまるで分かっていなかった。それだけのこと。

"今分かった"という私の態度に不満げな表情をぶつけてくる天元だけど、そんなこと言われても思い浮かばなかったのだから仕方ないと思う。


「あ、は、はい!で、では…よろしくお願いします!!」


ジト目でこちらを見下ろす天元に取り繕うかのように満面の笑みでそう言っても暫く針のようにチクチクと痛い視線が向けられたままだった。


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