第40章 【番外編】不滅の想いよ、永遠に
「…ったく、お前は…家で大人しく待ってるっつー選択肢はねぇんかよ…」
「ないよ!!でも、天元が近くにいたら良いって言ったじゃん!」
「それは…言った、けどよ…」
お館様の屋敷が襲撃されたと聞いて、慌てて日輪刀を引っ掴むと屋敷に向かう。
引退した今、最終決戦に参加することはできないが、お館様の最後の護衛をする任を仰せつかっている。
いざという時は…という約束ごととして現柱の面々と打ち合わせをしてその任を快諾したのは数日前のこと。
その時、ほの花にももちろん話したのだが、「一緒に行く」の一点張り。
宥めることは困難でひっつき虫の如く、俺の体にひっつき離れないほの花に仕方なく連れてきたのだ。
記憶を取り戻してからほの花との関係はもちろん良好で文字通り元鞘に戻ったのは言うまでもない。
ただほの花の体が全快するにはまだまだ時間がかかるだろう。
少しずつ発熱する回数も減ってはきているが、とてもじゃないが実戦に復帰するのは難しい。
よってほの花もほの花で最終決戦に参加することは不可能。
「医療班としてなら行ってもいい?」と来たる最終決戦においてほの花の希望は聞いていたが、俺と胡蝶が全力で止めた。
"治癒能力を使わない"という約束事をしていたとしてもいざ怪我をしたり、死にゆく人間を見てほの花がそれを守れるとは到底思えなかった。
正直に言おう。
そこに関しては全く信頼していない。
次にあの能力を使ったらほの花がどうなるか全く読めない。
ほんの少しでも使わせたくない。
もう一生使わなくていい。
それでも「何もせずにただ待ってるだけなんて嫌だ」と駄々を捏ねるほの花に仕方なく連れてきたのだ。
自分の見える範囲であれば守ってやれると思ったから。
記憶が戻ってからほの花は起きていられる時は必死に薬を作っていた。
休んでいた分も怪我をするかもしれない隊士のために役に立つかもしれないから、と。
これからそれは役に立つだろう。
珠世とか言う女が作ったほの花の血を使った毒も完成しているだろうし、もうほの花は十分すぎるほど役に立っているのだ。