第39章 陽だまりの先へ(終)※
「おかえり」と言ってくれるあなたがいる。
「ただいま」と言える場所がある。
「おいおい、ほの花、大丈夫かよ。山登れんの?そんなゼェゼェ言っててよ。」
「…の、登るしかないじゃん…!」
「抱えてやろうか?」
「い、いや!絶対いや!自分の足で登りたい!」
何度生まれ変わってもあなたと共に生きたい。
そう願っていた。
「天元様ー!ほの花ちゃーん!大丈夫ですかー?桜綺麗ですよ〜!あと少しー!」
「おー!ほの花がへばってるからよ、先に準備しておいてくれ。」
「はーい!」
いつだってあなたは私の陽だまりだった。
ずっとずっとその先も。
あなたと歩むその未来は陽だまりの先。
煉獄さんが自信を持てと言った意味がやっとわかった。
それは自分の想いを、相手の想いを信じて受け入れること。
「うう…早く見たい、桜…」
「ハハッ、頑張れ頑張れ。日が暮れる前に登れば大丈夫だって。」
「そ、そんなにかからないもん!!あと少しでしょ!!」
これから先も私はこの手を離したりしない。
私を助けてくれたこの手を
私が助けたこの手を
二度と離すことはしない。
その先に続く道を共に歩むことにもう逃げたりしない。
二人で登った先にあった約束の桜は今まで見たどんな景色よりも美しい。
手を取り合って顔を見合わせ笑い合う時間は宝物のような時間。
それは私たちの始まり。
「あーー!やっと着いたぁあ……。」
「お疲れさん。頑張ったな?」
「…うん。わぁ…綺麗だねぇ…桜。」
「ああ…、そうだな。」
「来年も、再来年も…ずーっと一緒に見ようね。」
「忘れんなよ、その言葉。俺より先に死んだらぶっ殺す。」
「そっくりそのままお返ししますー。」
私たちは共に歩み出す。
それこそが私たちの未来への道。
陽だまりの先へと向かう物語。
FIN