第39章 陽だまりの先へ(終)※
──宇髄さんに抱いてほしいです
そんなことを言われてしまったらどうなるか分かってるんだろうな?
あの日、記憶がない俺にお前は抱かれた。嫌がるお前を抱いてしまったことを後悔していたけど、記憶を取り戻してから感じたことがあった。
あの日のほの花は"いつものほの花"だったと。
自分に従わせようとして命令だと言ってしまったが、途中からほの花はいつものほの花だった。
俺が教えたように善がり、教えたように反応していた。其処に他の男の癖などなかったし、いつもの俺たちの情交だった。
それに気付けば、記憶があるとかないとか関係ないのだと思えた。結局、俺はお前を愛していて、お前も俺を愛していたから受け入れてくれたんだろ?
でも、今のほの花は違う。俺とは違って生娘に逆戻りしてしまったのだ。怖いと思うのは当たり前。
だから慎重に行かなければと思っていたのに、焦った俺はうっかり抱きそうになってしまったと口走ったがために怯えさせてしまった。
長期戦でいかねばならないことを再度認識せざるを得なかったのに、目の前にいるほの花が"抱いてほしい"と言われて動悸が止まらない。
気づけば彼女に覆いかぶさり、夢中で唇を貪っていた。高揚する心すら久しぶりで愛でてやりたいほど。
やっとほの花を抱けるのだと思うと胸が苦しい。
何とか気持ちを抑えて怖がらせないように額、目尻、頬…と徐々に降りていき、真っ白な首筋まで来ると其処に唇を押し当てた。
どうせ痕を残したらあの三人に怒られるのは目に見えているが、今日だけは我慢しない。
ほの花を全身全霊で愛したい。
勇気を出して"抱いてほしい"と言ってくれたのだ。
少しだけ皮膚を甘噛みするとそこに吸い付いた。
はじめてのはずなのにほの花は少しビクッとしただけで直ぐにそれを受け入れてくれているようだった。
ズッ…と吸い付くと其処に咲く紅い痕と純粋無垢なほの花の顔を同時に視界に入れると妙に煽情的だ。
「…ほの花、愛してる。痛かったり怖かったりしたらちゃんと言えよ?」
恍惚な表情をしたほの花が頷いたのを確認すると俺は再び首に顔を埋めて、彼女の体を弄り始めた。