第8章 愛し君と…(※)
もう、止まらない。
ほの花の真っ白な首筋に唇を寄せるとくすぐったそうに身を捩る。
布団に散らばる栗色の髪が美しくて、布団に下ろした時天女でもいるのかと思った。
真っ白な布団に、真っ白なほの花の体を横たえると己の心臓の音が聞こえちまうんじゃないかと思うほど煩い。
「…ん、ッ…。」
首筋に舌を這わせて、レロっと舐め上げるとビクビクと体を震わせるほの花。
何をされるんだろうときっと不安で仕方ないだろう。
そんなほの花の不安な気持ちは全部吸い取ってやる。少しの不安も感じないまま抱きたい。
そう決意すると自分でも驚くほど、彼女に優しく触れていた。
頬に触れるとそのまま唇を重ねた。
啄むように何度も繰り返すその口づけは先ほどのような濃厚さはないが、固まった体を弛緩させるのにはちょうどいい。
「…ほの花、好きだ。大丈夫だから。」
落ち着かせるようにそう言うと再び首筋に口付ける。吸い付いて、カリッと少しだけ皮膚に噛み付いてやると初めての感覚に体がビクンとした。
「不安なら…俺の首に手回しとけ。大丈夫だ。」
俺の言葉に少し迷いながらもおずおずと首に手を回してきたので、引っ張ってやることでグッと距離が近付いた。
ほの花が首にしがみついてきたところで再び彼女の首に唇を寄せると何度も何度も吸い付いた。
まるでコイツは俺の獲物だと周りに知らしめる肉食動物のように所有印を残す。
見えるようなところに付けたら後々怒られるかもしれないが、今のほの花は何も知らない生娘で、俺が今何をしているのかも分からないはず。
だとしたら今だけは俺の好きなように抱いてもいいだろ?
ここに付けておいたら、お前に言いよる男なんていねぇだろうからな。
自分勝手な考えだとは重々知っているが止まらなかったのだ。