第8章 愛し君と…(※)
宇髄さんに抱えられて帰ってくると先日と同じようにお風呂から上がったら部屋に向かうことにした。
毎日、三人のなかの誰かとお風呂に入るのが当たり前になってきた今日この頃。
今日はまきをさん。
最近では一緒にお風呂に浸かりながら今日一日の出来事などを共有し合ったりするのは楽しみだったりもする。
「ほらね、やっぱり天元様怒ってたじゃないですかー!」
「う…それに関しては何も言い返せませんよ…。」
「で?了承はしてくれたんですか?着てもいいって?」
「とりあえず今日按摩してくれれば許すって言ってくれました!」
まきをさんの言う通り、宇髄さんが怒っていたのは記憶に新しくやはり私よりこの三人のが彼のことをよく知り得ているようだ。
そこに嫉妬はないが、少しだけ羨ましくはある。
「うわぁー。絶対その按摩厭らしい意味だと思います!」
「…え?イヤラシイ…?按摩ですよ?」
「絶対押し倒そうとしてますよ!今日は覚悟しないとですね?」
「お?!おしたお?!?!」
押し倒すとは…?!?!
私とて知識が全く無いわけでは無い。
乏しいのは認める。
だが、まきをさんが言っているのが男女の夜の営みを指していることくらいは分かる。
「何ですか、その初心な反応は…。」
「だ、だって…」
「え?もうシてますよね?何をそんな…。」
シてる、とは…!もうそういう営みをしたかどうかということを聞いているのだろうか。
まさかそんなことを聞かれるとは思わなかったが、全力で首を振って否定する。
口付けはしたが、まだそういう行為に及んだことはない私は涙が出そうなほど恥ずかしくてたまらない。
「え、…ええええええええええーーーーー!?嘘でしょ?!」
あまりのまきをさんの絶叫ぶりに驚いて湯船の端で放心状態だ。
そんなに驚くようなことなのだろうか。
まだ恋仲になってそこまで日にちも経っていないし、そういうことは結婚を前提の男女が行う営みだと思っていた私はキョトンとしたまま、まきをさんを見た。