第35章 約束
私の目的は"音柱を対鬼舞辻無惨戦の戦力として死なせないこと"だった。
彼の命の順序を聞いて、そこに守るものが増えたことへ危機感を感じたから。
上弦の鬼との戦闘の末、炎柱煉獄杏寿郎さんが亡くなったことも大きい。
柱ですら…上弦の鬼に負けるのか、と怖くてたまらなかった。
でも、鬼殺隊としてどうすべきか考えた。
宇髄さんは日に日に私のことを大切にしてくれていたし、誰しもが私への過保護ぶりに呆れていたのを覚えている。
私は彼のお荷物になる。
鬼殺隊の中で柱とただの継子である私の重要度の比重は考えなくても明白。
決してそれを間違えてはいけない。
だから忘れ薬を飲ませてしまった。
周りを巻き込んで付き合わせた。
その間、本当に迷惑をかけた。
宇髄さんのいう通り、此処に来なければお荷物にならない。でも、もし…万が一、おとなしく待っていて"もしものことが"起こったら?
そうなった時、私は物凄く後悔する。
やらずに後悔するくらいならば、やって後悔する。その方がよっぽど人生を豊かにすると思う。
だから此処に来た。
彼の足手まといにはならない。
私は私で役に立つ道を探す。
"未来は変えられる"
瑠璃さんはそう言ってくれた。だからわたしは瑠璃さんと約束した。
未来を変えるためにこの道を突き進み、宇髄さんに本当のことを打ち明けると。
たった今、善逸にも約束した。
この遊郭に巣食う鬼を倒したら宇髄さんに打ち明けると。
そして私はさっき宇髄さんと大切な約束をした。
"来年の春、また一緒に桜を見に行きましょうと"
いくつもの約束の上に、いま私は立っている。
約束は守るもの
回り道をしたかもしれない。
でも、何度やり直しても私はこの道しか選べなかったと思う。
そこに彼への想いがあれば。
何度だって私は同じ道を選んだ。
そうまでしても彼の"命"を守りたかった。
決して強くない私の"守る"はそれしかなかった。
約束しよう。
必ずあなたを
あなたの大切なものを
あなたの未来を
あなたとの未来を
私は守る