第33章 世界で一番大切な"継子"※
遠慮の塊ってだけなのか?
アイツのことを知りたいと思ってもギリギリでかわされてしまいよく分からない。
湯呑みを洗いに台所に向かったほの花を後ろから付けて、「湯浴み先にしろよ」といえば「弟子は後から入るものです」とピシャリと言われて取り付く島もない。
俺は見た目通り丈夫だし、汗かいて風邪でもひきやしないかという心配をよそにほの花は笑顔で手を振ってくる。
その目は「早く湯浴みに行け」と言っていて、仕方なく先に湯浴みに来たが、俺がアイツを女扱いしちまってるのが悪いのか?
継子だけど、男女の差があればそりゃあ気にしてやることもたくさんある。
体力も俺のがあるし、体も明らかに俺のが強いだろう。
身長こそ嫁達よりもすらっと高いけど、細っこい。腕っぷしはそのへんの男よりは遥かに強いが、俺からしたら赤子の手をひねるほどか弱い。
うっかり押し倒しちまったら……
いや、何考えてんだ、俺は。
やましい考えが頭をよぎってしまったことでお湯から出ようとしたが、自分の下半身の反応に目を見開いた。
「…おいおい、嘘だろ…?」
其処には天井を向いて赤黒く反り返り涎を垂らしている肉棒があったから。
「何に反応してんだよ…?お前は…」
その勃起の理由なんて考えたら駄目だ。
今頭の中にいる人物は絶対にこんな反応を起こしたらいけない奴だろ?
「…勘弁してくれよ…。何もできねぇよ…」
どう転んでも手なんて出せやしないし、俺は三人も嫁がいる身だ。
もちろん大切にしているし、それに綻びはない。
それなのに欲情したのは誰に対してだ?
「…ほの花、お前…頼むわ…。本当に。どうしてくれんだよ…」
ついさっきまで距離感がもどかしいと感じてしまっていたのに、今は彼女から離れなければ…という使命感に駆られている。
だけど…今だけ
一度だけだから
お前をそういう対象に見てもいいか。
今だけだから
そう自分自身に問いかけて納得させると
滾ったまま元に戻らないその肉棒を握った。
「…今だけだ、一度だけ」
誰に言い訳するでもない。
言い訳するのは自分自身にだ。
これは絶対に許されないことなのだから。