第33章 世界で一番大切な"継子"※
「995…996…999…」
「いま、飛ばしたろ。900からやり直しな。」
「なぁああ…!せ、せめて990からに…!」
「口答えしたから800からな。」
何をしているかと言うと宇髄さんと仲良く(?)筋力訓練中
腕立て伏せ、腹筋、素振りを1000回重りをを付けてやると言うものだが、今日は昨日"鬼師匠"呼ばわりしたことのお仕置きで重りを増やされている。
前のお仕置きといえば専ら朝まで抱き潰されると言った卑猥なものだったが、今は今でツラい。
毎日の鍛錬とは別でこれをやらされているのだが、もう腕がぷるぷるしていて自分の体を支えるのもツラい。
このまま肘を折り曲げて再び伸ばして自分の体を持ち上げるなんていう腕立て伏せをあと200回なんてつらすぎる…。
だからといって宇髄さんがただ見ているだけと言うわけではなく、彼は私の二十倍近くある重りをつけて一緒に始めてくれたのだがとうの昔に終わったのだ。
要するに未だに終わらない私を待ってくれている状態。
「か、体が重いぃ…!もっと、やせ、痩せないと…」
「馬鹿か。お前はそれ以上痩せたら力が出ねぇから痩せんな。食いまくって筋力をつけろ。腕が細すぎる」
「し、ししょ、、といっ、しょに、しないで、くださぁ、い…!!」
チラッと見る先には誰が見ても逞ましいと感じるほどの太くて男らしい腕がお目見えする。
何て羨ましいことか。
「お前、筋肉増えにくいだろ?まぁ、女だから仕方ねぇ部分もあるが、それにしたってその細腕じゃ押し負けるぞ。」
「…852、853、954…」
「おい、一気に百増えたぞ。やり直し。」
「ふぇええん…、つらいぃ…!801〜、802〜…」
そもそも柱に稽古をつけてもらえるなんてありがたいことをこんな風に文句つけるなんて私くらいかもしれない。
そこは私も悪い。
恋人時代の記憶が自分にだけあるから少し甘えてしまう部分もある。許してくれている宇髄さんがやはり優しいだけだ。
痙攣して来た筋肉に叱咤激励をしながら最後の力を振り絞って腕立て伏せを1000回終えると地面に体を突っ伏して全身で呼吸を繰り返した。
すると、上から冷たい手拭いが落ちて来て「お疲れさん」という優しい声が降ってくる。
こうやって労ってくれるのも前と変わらない。