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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第6章 君思ふ、それは必然




「おい。この状況で普通寝れるか?どうなってんだよ、コイツの思考回路は。」

俺の苦言は間違っていないはずだ。その証拠に後ろの三人は口々に謝罪の言葉を並べ立てる。前々から町にある小間物屋の飾り棚に置いてあった花飾りがほの花に似合うだろうと思っていた。

前を通ってはアイツに似合うだろうなと想像しては諦めて帰ってきていたのだが、渡そうと決めたのは昨日の昼のこと。

あの白い花飾りは美しい長い栗色の髪のほの花が付けたらそれは可愛いだろう。普段も薄っすらと品良く化粧を施しているだけで装飾品などあまり身につけていない。
唯一しているのは父親の形見という五芒星の首飾りのみ。服装もそれなりのものを身につけてはいるものの華美ではない。

着飾ったらどれほど美しいのかと想像するのも楽しいが、実際に贈り物をすれば身につけてもらえると考えると気もそぞろだ。

だから花飾りを贈ろうと決めて、事前に代金を支払うと翌日取りに来る旨を伝えてほの花に自ら取りに行かせた。

もちろんその日はほの花の元縁談相手がこの町に来ると言うことも知っていたので万が一遭遇すれば一言物申そうと思っていた。
ただ時間帯が少しズレただけでそれは叶わないため、今回…俺の引きが強いのか。
あの男の引きが悪いのか。

どちらかは分からないが、ほの花の危機に間に合って、それはもう格好良く守れたと思っている。


思っているのに…


肝心のほの花は俺の肩に顔を埋めたまま、あろうことか寝始めたのだ。最初は涙を止めるために顔を埋めていたのだとは思う。鼻を啜っていたし、間違いない。

なのにまぁ、俺にしてはほの花が舌を噛まないようにゆっくり歩いたことも一因だと思う。

思うが…!!



「普通寝ないだろ!?こんな良い雰囲気で!」

「「「大変申し訳ございません。」」」


いくらコイツらに謝られたとて今ある事実は一つ。

ほの花が腕の中で爆睡していると言うことのみ。


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