第28章 無欲と深愛※
「…当たり前だろ。他の男と結婚なんてさせねぇぞ。つーか、お前なに?!もう一回ヤりてぇの?!」
「な、ち、ちがっ!」
突然、不意打ちでほの花はとんでもないことを軽々言ってくる。
"最初で最後の人になってくれる?"
だなんて殺し文句どこで覚えてきたんだ。
そんなこと言われて嬉しくない男なんていない。愛おしい女に"最後の人になってほしい"と言われて俺は軽く半狂乱だ。
「…だ、だって…、私には…天元しか、いないもん。何があっても、天元しか欲しくないよ。」
「あー、はいはい。それ以上言うな。勃っちま……っただろ。馬鹿ほの花。煽んな。クソ愛してる。」
「…果てすぎて、頭痛い…。」
「あー、悪ぃ。大丈夫か。お湯も冷めちまったし、新しいのもらってくるからちょっと休んでろ。悪かった。」
清拭の最中にほの花に盛って、病人抱くなんて鬼畜の極みの俺だが、見上げてくる彼女がふんわりと笑ったのでまたすぐ調子になってしまうだろう。
ほの花に関しては我慢が効かないのは出会った当初からだ。
そうでなければ嫁との関係を解消してまで一緒になろうとは思わない。
「…ほの花。」
「え?」
「二度と…毒なんて飲むな。俺の最後の女なんだから早々にくたばったら許さねぇからな。必ず添い遂げろ。」
肌蹴ていた夜着を一旦整えてやりながら、腹に解き放った精液を拭き取ってやる。
完璧に清拭した後でなくて返ってよかった。
これからまた綺麗にしてやればいいのだから。
ほの花に望むのはたった一つだけだ。
これからも俺の隣に居続けること。
ほの花は無欲だけど、不意打ちでコイツの深い愛を感じると、どうしようもないほどに愛おしくてたまらなくなる。
俺のために毒まで飲んで己の愛を証明しようとしたり、最初で最後の人になってほしいと言ってきたり…。
どれだけ俺を溺れさせれば気が済むんだ。
もう後には引き返せないから。
だから俺の望みはたった一つなのだ。
俺の隣にずっと居てほしい。
たったそれだけ。
ほの花がいない世界を想像することすらできないほど、俺はお前に溺れている。
代わりは居ない。
最後の女だからだ。