第28章 無欲と深愛※
二本の指をぐりぐりと円を描くように蜜壷の中を抽送される。強い刺激に唇を噛み締めるが、だんだんと勝手に気持ち良くなってしまう。
"慣らす"とは言っても宇髄さんは私を気持ち良くしてくれるのも同時にしてくれるから結局のところ果てそうなのを必死に我慢することしかできないのだ。
気をやるなと言うならばもう少し痛めつけてくれたらいいのに…とも思うが、痛いのは嫌だし、宇髄さんは私に痛みを感じさせたいわけじゃない。
体のためにもあまり気をやるなと言っているだけ。
そう考えるとこの気持ち良さも後ろめたいほどだ。
続けられる指の往復によって、快感で体の力が抜けていく。
でも、これが続けば再び張り詰めていって、最後は気をやる羽目になる。
慣らすことだけを考えないとすぐに果ててしまうのだから私の脳内は忙しい。
さっき宇髄さんがやっていたみたいに他ごとを考えていれば快感を感じずにいられるのだろうか?とも思ったが、目を逸らせばすぐに口づけをされて彼のことしか考えられなくなってしまう。
一体、それこそ生き地獄だ。
早く気をやりたいのにやるなと言われ、
それなのに"慣らす"と言われて気持ちいいことをされるのだ。
どこを取っても私を待ち受けるのは絶頂しかないのに。
「…っ、ああっ…!ふ、ぁっ…!あああっ!て、んげん…!や、ぁぁ…!も、だめ…!いい…?」
「駄目。」
「っ…あ、…、天元…意地悪…。」
せっかく昇り詰めてそろそろ果てそうだったと言うのに急に指を抜いてしまった宇髄さんに物欲しそうな顔を向けていることだろう。
自分が痴女のような姿を晒しているのは分かっているけど、欲しいものは欲しい。
果そびれた情欲が体の中で蠢いていて変な気分で彼を見ることしかできない。
「…ハハッ…。わぁーったって。ちょっと足りねぇかもしれないが、もう我慢できないって顔だな。」
「うん…。我慢できない。早く…。」
「ったく、ほの花ちゃんはこんな時だけ甘えてよぉ。普段ももっと甘えてこいよな。」
帯を取り払い、着物を脱ぎ捨てると赤黒く反り返る凶暴な屹立に目を背けた。
あんなにも欲しかったのに実物を見てしまうと少しだけ日和ってしまうのは仕方ないはず。
ごくりと生唾を飲むと宇髄さんを見上げた。