第28章 無欲と深愛※
「…暫く何をするにしても俺の許可なしに勝手なことはするな。分かったな。」
「えー?出かけるのも?」
「何処に何時から何時まで誰と会うのかを事細かく言っていけ。分かったな。」
「は、はぁい…。」
腕を拭いてくれている手付きは優しいのに言ってることはとても恐ろしい。
でも、こうなることは想定済みだ。信じられないほど心配性な宇髄さんが過保護になるのは仕方ないこと。それだけ心配かけるようなことをしてしまったのだから。
「…お前、腕ほっせぇな。ずっと思ってたけどお前あんまり筋肉つかねぇよな。あんなに筋肉増強鍛練してやってんのに。」
「突然、何なの…?馬鹿にしてる?」
「いや。別のこと考えておかねぇと、勃っちまうからよ。必死に筋肉のこと考えてる。」
「……それは何か、ごめんね。」
宇髄さんからしたらいつも長期任務後はこれでもかと発散しているところを私が毒なんて飲んだものだから性欲は溜まり放題のはず。
それにも付け加えて清拭なんてさせてるのだからさぞ悶々としていることだろう。
「…あの、ツラかったら正宗か誰かに頼んでもらってもいいよ。それか私、一人でできるから。」
「…は?何つった?お前…。」
「え?!ちょ、何で怒ってるの?!ひ、一人でできるって言っただけじゃんーー!」
「そっちじゃねぇわ!俺以外の男に裸見せるつもりか?!」
そうか、そうだよね。宇髄さんはそっちだよね。
正宗たちは正直、子どもの頃からお風呂に入れてもらったりしていたくらいの仲だし、何とも思わないのに。
まぁ、よく考えたらもういい大人だし、確かにそっちのがおかしいか。
「ご、ごめん。そうだよね…!でも、何とも思ってないから言っただけ…!ごめんって…。」
失言だったと思い、素直に謝っても宇髄さんの顔は怖いままだ。
性欲が溜まってるところに私の失言が尾を引いているのだろうが、毒で頭が回っていなかったことで許してほしい。
「…て、天元…?ごめんね。悪気はない、からっ…あっ…ッ!」
何回目かの謝罪のために少しだけ体を起こして視線を合わせると、途端に体が反転して天井が目に入った。
首筋に熱い唇の感触を感じたのはそのすぐ後のこと。