第26章 君の居ない時間※
〈オマケ〉
「…おい、今のって…軽い求婚だよな。」
「言うな、隆元。聞かなかったことにしよう。」
「それじゃ、我々も共犯だぞ。」
綺麗になった舞扇を出してウキウキと前を歩くほの花様を見ながら戦々恐々としているのは元護衛三人。
先ほどの鋼鐡塚様の言葉は明らかに宇髄様にフラれたら自分が嫁にもらってやると言う意味に他ならない筈。
天然爆裂娘で鈍感極まりないほの花様がそれに気付かなかったのは不幸中の幸いか…最早よく分からない。
宇髄様に悟られないためにはほの花様が気付いてないことが第一条件だ。何故なら顔に出るから。
でも、気付いてないなら気付いてないで悪気なくさっきのことを言ってしまう可能性がある。
もうどうしたら良いのか分からない。
すると思い出されるのは先日、初めて鋼鐡塚様のところへ看護に行った時のこと。
── あんたも大変だな。立ち回るのも骨が折れるだろ──
ええ!とても大変です!!本当に!!!
そんな我々の気持ちなど露知らず。
ほの花様の軽い足取りにため息を吐くしかなかった。