第4章 実力試験は実戦で
「ほの花、ちょっといいか。」
お風呂上がり、須磨さんに抱きつかれながら歩いていると後ろから声をかけられた。
「あ、宇髄さん!冨岡さんはもうおかえりになりましたか?」
「ああ。須磨悪いがほの花貸してくれ。」
「ええええーー!!私、お風呂はまきをさんに譲ったから今からほの花さんとお話しようと思ってたのにぃーーー!」
「す、須磨さん!宇髄さんのお話が終わったらお部屋に行っていいですか?一緒に薬膳茶でも飲みましょう!」
須磨さんが肋骨が折れるんじゃないかと思うほど抱きついてきたので、何とか代替案を提案すると渋々離れてくれたが、口を尖らせながら宇髄さんにジト目をしていて、若干宇髄さんに申し訳ない…。
その場で不満ですと顔に書いてある須磨さんと別れると自分の部屋に宇髄さんを招き入れた。
「どうかしましたか?」
「んー…今は顔色良さそうだな。」
「え??」
「冨岡がお前の顔色が悪かったって言ってたからよ。気になってたんだ。大丈夫か?」
どうやら冨岡さんはあの後すぐ帰ったわけではないらしい。継子のことだから情報共有してくれたのだろう。すぐに治ることなのに冨岡さんとぶつかったがために心配させてしまって申し訳なかった…。
「全然大丈夫です!疲れがたまってたんですかね?今日は早めに帰って休もうと思っていた時にぶつかってしまったんですよー。」
「大丈夫ならいいが、最終選別まで日にちもないから明日は一日休息を取れ。胡蝶にも伝えておくから。」
「えー…でも、もう元気なんですけど…。」
「何で急に元気になるんだよ。疲れが溜まってたのかなって今、自分で言っただろ。」
宇髄さんの言葉にグゥの根も出ない私は自分で掘った墓穴を埋めるが如く、コクコクと頷いた。
危ない危ない危ない。
もしあれを使ったのがバレたら追放されてしまうかもしれない…。
「とりあえず今日はもう寝ろ。須磨には俺が言っておいてやるから。」
「え、だ、大丈夫ですか?」
「胸ぐら掴まれるだろうけどな。じゃ、寝とけよ。おやすみ。」
そういうと宇髄さんは面倒臭そうに部屋を出て行った。