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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第26章 君の居ない時間※





前を歩くひょっとこ男の後ろをついて行くと一軒の家が見えてきた。
変な人だとは思っていたが、意外にもちゃんと案内してくれたのだろうか。

それならば、ひょっとこ付けているくらいで変な男扱いして申し訳ないことをしたな、と心の中で謝罪すると突然、ひょっとこ男がこちらを振り向いた。


「あんたのその腰に付けてるのは多分俺が打ったやつだ。」


「…え?」


急に振り向いたかと思うと、私の腰に付けていた舞扇を指差してそんなことを言った。
これは確かに両親が私のために産屋敷様に頼んでくださったもの。

そうか、刀鍛冶の里ということは…日輪刀は全て此処で作っているから、私のも此処で作られたのか。
まさかこんな来た瞬間、作った人に出会うなんて思いもしなかったが。


舞扇とひょっとこ男さんを交互に見て目を見開くと立ち止まり「見せてみろ」と言われたので、おずおずとそれを差し出した。


「……やはり俺が打ったやつだ。まぁ、割と綺麗に使っているようだけど、ちょっと刃こぼれしてるじゃねぇか!仕方ねぇな。研いでやるから預かるぞ。」


「え、ちょ、ちょ、…!まさか泥棒!?それは大切なものなの!」


「違うわ!!俺が作ったっつってんだろ?舞扇なんて生まれて初めて作ったからよく覚えてる。どうせ碌に研いでねぇんだろ?俺がやってやる。ちょうど暇なんだ。」


そう言うと舞扇を取り上げたまま、返してくれなくて焦ってしまう。
話を聞いていると確かにこの人が作ったのかもしれないが、よく知りもしない人だし、信用できる人なのかも分からない。

いや、そんな人に自分の日輪刀見せた時点で、ちょっと油断しすぎたかもしれないが…。
宇髄さんがいたらまた怒られてしまうやつだ。


「あ、あの!それも返してほしいけど、長の方の家は?!ちゃんと案内してくださいよ!」


「ああ、家はそこだ。どうせ救護に来たってことは暫くいるんだろ?長が診療所を教えてくれるだろうからそこに持って行ってやるよ。」


そう言うと物凄い速さで舞扇を持って走っていってしまった。
見たところ彼はスペイン風邪の兆候らしい兆候はなさそうだったけど…。

此処の里にいると言う時点で全員が感染していると思って接した方がいいのは間違いない。

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