第26章 君の居ない時間※
「えええ?!じゃ、じゃあ…ほの花さんと一緒に三人とも行ってしまうんですかぁ?や、やだぁー!行かないでくださいーーー!!」
「す、須磨さん…。」
「ほの花さんも三人も行かないでくださいよぉぉっ!!やだぁ!そんな危険なところに行かないでぇ…!ふぇ、えええん…!」
出立前最後の晩餐となる食卓でことの次第を話すと、左側にいた須磨さんが突然泣き出してしまった。
あまりに素直に綺麗な涙を流すものだから思わず見惚れてしまったほど。
隣に座っていた大進が背中を撫でてあげているが、一向に泣き止む様子はない。
こんなに泣かせてしまうのであれば一人で行けば良かったか…と後悔をし始めた時、隣にいた宇髄さんがため息を吐き、話し出した。
「…おい、須磨。泣くな。ほの花だって正宗達だって行きたくて行くわけじゃねぇ。困らせんな。必ず戻ってくるって言ってるんだから…待ってれば良い。」
「そんなぁ…!天元様はそれでいいんですかぁ?!」
「そりゃ…行かせたくないのは山々だが…、他に手立ても無い。鬼殺隊の柱としての立場的にも引き止めることは出来ねぇよ。」
宇髄さんだってさっきまで行って欲しく無いと言っていたのだから、必死に自分を抑えてくれているのだろう。
産屋敷様から頼まれたのもあるけど、私たち以外が行くことのが危険が多いのだから仕方ない。
「す、須磨さん…ごめんなさい。私一人で行けば良かったですね…。」
宇髄さんが日中居ない時は正宗達がこの家でいろいろ手伝っていたのは知っていた。
でも、こんなにも三人に頼りにされていたとは思いもよらず勝手に決めてしまったことを後悔し出した私は彼女に思わず謝ってしまった。
すると、顔を真っ赤にして首を振ると益々涙が溢れて来てしまった須磨さんを見て胸が締め付けられた。
「え、っ!ち、ちが、!違いますぅーー!ごめんなさぁい!!ほの花さんも行かないでくださいーー!!」
「須磨さん…。」
そう言うと私に抱きついてきた彼女が本当に寂しそうに謝罪するものだからそれ以上何も言えず泣き止むまで須磨さんの背中を撫で続けた。