第25章 甘える勇気
「先日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。本当に本当にごめんなさい。」
「ふふふっ、ほの花さんの酒乱を見れてなかなか興味深かったですよ。」
「うう…こちらはお詫びの品でございます…!」
「まぁ、ほの花が悪かったな。俺からも謝る。」
酒乱事件から数日後、私は宇髄さんと共に謝罪行脚を敢行していた。
本来、私だけで行くものなのだが、宇髄さんが「俺が連れて行ったんだから俺の責任でもある」と言って一緒に来てくれた。
煉獄さんのところへ行き、
不死川さんのところへも行き、
そして最後にしのぶさんのところへ来た。
お詫びの菓子折りも買い込み、一軒ずつお詫びして廻っているのだが、皆口を揃えて「気にしなくて良い」と言ってくれる懐の深い人ばかりで涙が出そうになった。
お酒を飲むきっかけになったのは煉獄さんに注がれたからだそうで、逆に「すまん!」と謝られてしまったので、地面に頭をつけて謝り返したら「女が土下座すんな」と宇髄さんに体を抱えられた。
女であろうと何だろうと悪いことをしたから土下座したまでのことなのに、宇髄さんはこういうところで女というのを立ててくれる。
そういうところが大好きだけど、この場合は謝り倒させて欲しかった。
「良いんですよ。ほの花さんにはいつも突然救護依頼で来てもらったりしてましたし、気にしないでください。でも、お菓子はカナヲ達と有り難く頂きますね。」
「…うう、本当にすみませんでした…。」
「たまには羽目を外すのも良いかと思いますよ。精神的にスッキリしますし!あ…ほの花さんは精神的に追い詰められてますから逆効果ですかね。」
仰る通りで。
二度と羽目を外したくないのでお酒は飲まないです。
「コイツ、一昨日から毎日星に向かって地獄に行きませんようにって祈ってんの。馬鹿だろー?!」
「馬鹿ですねぇ。そんなことで地獄に落ちるなら世の中の人間の大半は地獄行きですね。」
笑い合う柱二人を横目に私は本気で危惧しているのだ。万が一、死んだ時に宇髄さんと同じところに行けないなんて考えただけで嫌なのだから。