第24章 情欲は無限大※
「…え、私…、天元にも失礼なこと…した?」
しのぶさんにも不死川さんにも煉獄さんにも迷惑をかけたのはわかったが、当然宇髄さんは此処まで連れて帰ってきてくれて、介抱までしてくれたのだろう。
とてつもない苦労をかけたのではないかと気が気でない。
「んー?まぁ、俺には良いんだって。迷惑かけられても自分の女だしよ。気にすんなって。」
そうやって取り合ってくれないが、言葉の節々から迷惑をかけたことは間違いないのだと悟る。
そう思うのには他にも理由があった。
目の前にいる彼の首から胸にかけて付いている赤い痕。
それは紛れもなく情交の時に私がたまに彼からつけられる所有印の証。
自分も付いているのかもしれないが、彼の肌にそれが散見するのは初めてのこと。
まさか自分が付けたのではないか?
だって私たちは同じ布団で何も身につけずに寝ていてのだから。
「…あ、あの…ま、まさかと思うけど…、それ、って…私が付けた?」
「ん?…あー、これ?そうそう。お前が付けたいって騒ぐからよ。」
"ツケタイッテサワグカラヨ"
嘘でしょ……?
しかし、私が付けてないのであれば誰に付けられたというのだ。覚えていないにせよ、彼がその間に浮気したなんて考えにくいではないか。
「……ご、ご、ゴメンナサイ…。今日から暫く毎日天元の按摩をします。本当にごめんなさい。」
「別に良いって。頑張って付けてたの可愛かったぜ?」
「嘘だよー!可愛くないでしょ、そんな女ーー!」
「可愛いかったぜ?俺の大根食うって口淫し出したり、自分の体の部位を食いもんで表してきたりしてよ。召し上がれっていうんだぜ?」
いや、もう絶望。
何してんの!
何してんのーー!!
何してんのーーーーー!!!
馬鹿なの!私は?!
もう無理!!恥ずかしくて死ぬ。
耐えきれなくなった私は、彼の元から全速力で逃げて、部屋も突っ切り、庭に出ると温室の陰で隠れた。
暫く此処から出たくない。
天元はきっとそんなことで呆れて捨てたりしないけど、恥ずかしさは天井を通り抜けて無双状態だ。
このままずっと陰でコソコソ生きていたいと思ったのに、すぐに迎えに来てくれた宇髄さんに抱き上げられて部屋に戻されることになったが、それから暫く落ち込んだのはいうまでもない。
酒は飲んでも飲まれるなというのは後で気づくものなのだ。