第24章 情欲は無限大※
宇髄さんを助ける!!
薬師なんだから!!
と、まぁ勢いで出てきてしまったけど、途中で私は重要なことに気付いた。
「催淫作用ってどんな処方すればいいの?」
そう。私はそんな処方などしたことない。
そして、聞いたことはあるが、普段そう言う類の媚薬とかを調合する機会などないので申し訳ないが不勉強なのだ。
動悸や血圧が上がるなら、降圧剤を飲めばいいけど、病気でもないのに降圧剤なんて飲んだら逆に体に良くない。
では、解熱剤?
熱く滾るのは熱ではないから意味ないか。
催淫って………
「え?ど、どうしたらいいんだろう?」
誰もいない道を一人でトボトボと歩いているが、目的地に近づけば近づくほど薬師としての真価を問われているようで冷や汗が流れ出る。
頭の中で薬の調合を何度も試してみるが、どれも見当違い。
そもそも催淫状態を改善する薬なんて聞いたこともない。
時が経つのを待つしか………。
そこまで考えてやっと私は気付いたのだ。
薬師として来たところで私ができることなどないと言うことに。
催淫状態というのは永遠に続くものではないし、効果は徐々に薄まり抜けていくのが常。
恐らく血鬼術と言えど効果は同じだろう。
だから宇髄さんも"暫く治まるのを待つ"と言っていたのだ。
何をそんな"薬師として!"なんて躍起になってきてしまったのだろうか。
やれることなんて何もないというのに。
教えてもらった藤の家は目と鼻の先。
やれることもないのに行ってどうするつもりなのだと思う一方で、宇髄さんの顔が見たくて仕方ないという自分の欲もある。
もう今日で四日目。
どうせ帰るにしても顔を見てから帰ったとしてもバチは当たらないだろう。
私はそんな軽い気持ちで藤の家に向かうと家主の方に「音柱様の継子です。」と伝えて家の中に入らせてもらった。
「誰も入れないように」と言われていると家主の方に言われたが自分は継子の上に恋人なのだから!と強気の姿勢で彼のいるであろう部屋に向かった。
部屋の前で久しぶりに会えると思ってワクワクしながら「宇髄さん、入るね?」と言ったのだが、全然返事がない。寝てるのかもと思って静かに襖を開けると、精液独特の生臭い匂いと共に壁に寄りかかったまま放心状態の宇髄さんが目に入った。