第24章 情欲は無限大※
「そうだ!今度、無一郎くんを食事に招待してもいい??」
「……むいちろ……?ああ!時透か。って、何でだよ。急にどうした。」
「いつも一人でご飯食べてるんだって!まだ十四歳なのに寂しいじゃない?だからうちでみんなで食べた方が美味しいと思うの!」
「へぇ…。聞くが、お前時透といつの間にそんなに仲良くなった?」
ほの花の妊娠疑惑が晴れた翌日、そんなことを言い出した。
そもそも一昨日の任務が初見だったはず。
割と誰とでもすぐに打ち解ける奴だとは思っていたが、時透があんなに心を開いてるのを見たことがない。
柱はとっつきにくい奴が多いから大したモンだが。
「え?あの任務の帰りにおにぎりをあげたんだけどね。そしたら美味しいって食べてくれて!いつもごはんはどうしてるの?って聞いたら一人で食べてるって言うから。」
「それで一緒に飯食おうって誘ったってことでいいか?」
「そう!天元ったら頭いい〜!飲み込み早い〜!」
褒められても何も嬉しくない。
そもそも自分の女が作った飯を他の野郎が食べたってことが気に入らないのは心が狭すぎるのか?しかも、年下の後輩柱だ。ほの花も時透にも下心がないのは分かっているが気に入らない。
「それは構わねぇけどよ。それだけで急にアイツとそこまで仲良くなったってか?」
「いや、それだけじゃないよ。無一郎くんが昔の記憶がないって言うから私と一緒だね〜!って話もしたかなぁ?私も途切れ途切れしかなくて、どうやら忘れ薬飲まされてたらしくて。あはは!通りで〜!」
しれっと初めて知ることを報告するほの花に俺はずっこけそうになった。
だが、悲しそうに報告するわけではなく、あっけらかんと言うその姿に精神的な方は大丈夫そうだと胸を撫で下ろす。
「…何だよ、それ。初耳なんだけど。」
「え、いや…ご、ごめん。」
「何で飲まされてたんだよ。」
「ほら、子どもだったから能力のこと人に話したり使ったりし過ぎたりしないように定期的に飲まされてたみたいで…!だから私、神楽家女児出生の秘密も全然知らなかったんだと思う。」
聞けば話の内容は理解できるし、ほの花の両親がそうした理由も肯ける。
子どもなんて悪気なく人にしれっと話したりするからな。
だとしてもそのことを聞いてなかったことが少しだけ不満だ。