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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第4章 病魔【P128 ~ 🫖*】


「主様に拒まれても、キミはそうして踏み込もうとするのか」



「!」

みひらく瞳の先で、冷えた眼とかち合う。

その瞳に動揺を見止めたルカスは、ほんの少しだけ瞳を和らげた。



「時間をかけて構築するんだ。

………主様が、真の意味で我々を頼れるようになるまで」

ミヤジは手元のカップに視線を落としたまま、唇をひらかずにいる。




そんな彼にも声を紡いだ。




「ミヤジ」

その声に漸くおもてを上げる。

わずかな刃を纏ったフローライトの双眸を、ルカスはまっすぐにみつめた。



「主様がキミの心にふれても、そうして自分自身を守るのか」

みひらく瞳。

けれどそれは刹那のことで、すぐに常の厳しさを映した。



「お前には関係ないだろう」

すげなく返したが、ルカスは穏やかながらも凛然とした態度を崩さなかった。

労わるような、気遣わしげな眼差しを向けてくる。



「キミの痛みや苦しみは、きっと私には計り知れない程深いのだろう。


それでもこうして口にするのは、キミのことが心配だからだ。それに———、」

厳しい視線を受け止め、一度声を止める。

そして再びひらいた唇は、思いがけない言葉を紡いだ。



「キミと主様はよく似ている。

だからこそ寄り添っていたいと———私はそう思っているよ」



「……そうか」

互いに厳しい視線を向け合う。

その間にやんわりと入ってきたのはベリアンだった。



「おふたりとも、そこまでですよ」

それぞれの胸に手を置いて、そっと引き離す。そして再度唇をひらいた。



「ありがとうございます。………おふたりのお陰で、

私は、また前を向くことができそうです」

その瞳からは先刻までの靄のような惑いが消えている。そのさまにふたりの瞳が和らいだ。



「そうか、………それならよかったよ」



「迷った時はまた三人で話し合おうか」

笑みを描く唇。

蝋燭の燈が、三人を労るようにゆらめいていた。
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