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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第4章 病魔【P128 ~ 🫖*】


「ベリアン、お呼びと伺ったが」

ミヤジが研究室へと足を踏み入れると、そこには彼と。



「私もいるよ」

にこやかに笑うそのおもてに、何処か相容れぬ雰囲気を漂わせている。

そのおもてを見止めた途端、瞬時に己の表情が強張ったのが自分でもわかった。



「……ルカス」

冷えた声音で名を呼べば、ベリアンがふたりの間に割って入った。



「おふたりとも、そこまでにいたしましょう」

それぞれの胸に手を置き、そっと引き離す。

そのさまに、ふたりの瞳がほんの少しだけ柔らかくなった。



「そうだね、早く済ませてしまおうか」

彼のほうを見ないまま、笑んだ唇。

そんな彼に、ルカスはすぅっと両の眼を細めた。



(やはり、キミは私を赦してはいないようだね)

そうであっても仕方ない。

己のした行為と、………彼の性格を考えれば。



(……ミヤジ)

心で呼びかける。現で口にしても、響かないであろう己の考えを。



(私に、キミの赦しを乞う資格はないけれど………、)

医師として、ひとりの友人として、

いつの日かキミの心の蟠りが解ける日が来ることを願っているよ。



………と。視線に気づいたミヤジが、こちらへと瞳を巡らせてきた。

怪訝そうに柳眉を顰め、彼の視線をうけ止める。



「何かな、ルカス?」

冷たい声音。あらゆる感情を無理やり剥いだような、妙に平坦な声。

それでもこちらを見つめる瞳に、ルカスは唇をひらいた。



「いや、………何でもないさ」

にっこりと笑んだおもてを胡散臭げに見やって、彼の視線が離れていく。
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