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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第3章 捻れた現実


「おい……なんであいつらが、」



「あぁ、………よくものうのうと来れるよな」



「あの女があいつらの主人だろ? 見ろよ、あの水銀色の髪……!」



「っ………!」

吐息を封じたラムリが、彼らのほうへ歩みかけるも、

ヴァリスその人に止められてしまう。



「やめて、ラムリ。………駄目よ」



「っ……でも………っ」



「ラムリ」

すこし咎めるように、名前を呼ばれただけ。

それなのに、彼らを正そうとする意思は形を代えて。



「っ……ラジャーです」

唇を噛みしめながらも従う彼。

そんな彼に、ヴァリスは密やかに笑いかける。



「ありがとう」

にこりと微笑いかけると、彼らの声により棘が宿った。



「随分お優しい『主様』だな」



「あぁ、まるで偽善者だ」



「でもあの女がもっと早く、この世界に来ていたら………、」



「あいつらの不始末は、あの女の不始末だろうに」

憎しみの篭った眼が、一斉に彼女へと向けられる。

空気さえもひりつく中、ヴァリスは唇をひらいた。
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