第3章 捻れた現実
「ラト……お前、」
厳しい視線を向ける彼に、「ハウレス、私なら大丈夫だから」と
守るように広げた片腕に指をかける。
「しかし………、」
尚も言い淀む。そんな彼に、すこしばかりその瞳の温度を消し去った。
「ハウレス」
やんわりと咎めるように名を呼ぶと。
「かしこまりました」
胸に手をあて一礼する。そんな彼らのやり取りに、その瞳がすこしばかり解けた。
「くふふ……貴女は不思議な方ですね」
優雅だけれど、心が視えない笑み。
彼女をみつめる眼差しは、何処か冷たさをはらんでいた。
「そうかな……?」
穏やかな瞳に笑みを返す。
「えぇ。私が言うのもなんですが、私をみて恐れるものだとばかり……。」
その言葉に、その瞳が厳しさを映す。
けれどそれは一瞬のことで、すぐに常のひかりを宿した。