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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第2章 主人として


「笑ってください。

貴女は、笑った顔のほうがお似合いですよ」

何も聴かずとも、寄り添うような眼差しに張りつめていた心が弛んだ。



(あなた達なら、)

ヴァリスの内で、温かな想いが宿りはじめる。




今はまだ、話すことはできない。



それでも——。



この人達を信じたい。………信じてみたい。

諦めていた、決めつけていたみずからを心から恥じた。



(本当の私を、受け入れてくれるかもしれない)

ひとつの可能性は、消し去りがたくて。………消し去れなくて。



「……ありがとう」

心からの微笑に、彼らも嬉しそうに笑う。



穏やかな刻(とき)は、彼らを腕に包んだ。

温かくて、優しくて、楽しい心地が、彼女の内を満たしていく。



彼女が微笑っている。ただそれだけで、陽が差す胸の内。



心から願って、驚いて、………笑って。

願わくば、この時間が、彼女を少しでもも癒しますように。



ベリアンの胸に灯った、たしかな想いとともに、彼女をみつめていた。
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