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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第2章 主人として


「ベリアンさん、ちょっと借りますね」
彼の手からポットを受け取り、湯を注げば。



「わぁ……っ!」

思わず感嘆が零れた。湯を吸収した蕾が開き、咲き誇ったのだ。



立ち上る花の匂いに、自然と笑みが零れる。



「綺麗………。」
心からの言葉に、ロノも嬉しそうに笑う。



「アモンさんが育てた花を、お茶にしてみたんです」



「凄く素敵ね」
微笑むと、ほっとしたように彼らの瞳が和んだ。



「? どうしたの?」

その意味を図りかねて問う。

その眼に映ったのは、優しい眼差しだった。



「あなたが言えるまで、オレ達……待ちますから、」



「あ………。」

その言葉に、彼女の瞳がゆれる。

先刻の葛藤を見透かされた気がして、ふたたび棘が宿った。



「今は……話せないことなのでしょう?」



「そう、だね……。」

かみしめかけた唇をそっとなぞる、冷たくも優しい指先。



「っ………。」

わずかに染まる目元。

その瞳がとらえたのは、柔く解けるような微笑みだった。
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