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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第7章 惑いの往く末 後編 *【🌹 、not 最終行為】


「も……もういいでしょ?」

彼から視線を解いたまま呟くと、「何がっすか」と冷たい声音が降ってくる。



その声に宿る棘に仄かに身体を強張らせると、彼の指が頬に触れる。

彼女の緊張を解かせるような、気高く花に指を伸ばすが如く、柔らかで優しい手付き。



「上書きしてあげますっす。

ベリアンさんが触れた箇所を、オレの手で………ね」

微笑んだそのおもてには、いつもの悪戯な感情の色と、灼けるような嫉妬が宿っていた。



きっとアモンは、最後までするつもりなのだ。

そう理解した瞬間、彼と視線を結び唇をひらく。



「アモン、待って……! あの夜はただ———、」



「やっと、こっちを向いてくれたっすね」

彼女の声など聞こえていない様子で、再度唇を重ねあわせてくる。



仄かにひらいた唇の狭間から、彼の舌が口腔内へと滑り込んでくる。



口内へと押し込まれた舌先が、こちらの舌を求めて動き回る。

私の舌を絡め取り、舐めて甘噛んで、温かくぬるついた粘膜を蹂躙した。



「ん、………や……ぁ、」

くぐもった艶音さえ吸い取るようなキスをされて、ヴァリスは身体が熱くなってくる。



私の上にのしかかり、その身の下で身を捩るさまを灼けるように熱の宿った視線で見下ろしながら、

アモンの指が揺れる胸へと伸ばされた。


「や、………待っ———、ひぅっっ」

制止を口にしかけど、胸を揉まれては身体の力を奪われてしまう。



長くて太い、されど優美な造形を持つアモンの掌が、胸に指を沈み込ませるようにして力任せに触れてくる。

指の狭間から柔らかくはみ出すその感触を愉しむように捏ね回されて、ヴァリスは艶音を零した。



「やぁっ………痛いっ……! やめて……!」



「痛いっすか? それなら、このくらいならどうです?」



「んっ……駄目、………駄目だってば……!」

僅かに掌に込めた力を解いて、やわりやわりと揉まれていると、

あの夜と同じ感覚に襲われる。


背筋に甘い戦慄が駆け抜け、

下腹部にはじんわりとした微熱が宿りはじめ、ヴァリスはいやいやと頭を振った。
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