第7章 惑いの往く末 後編 *【🌹 、not 最終行為】
(なんで、私………っ)
こんなに無理やり抱かれようとしているのに、嫌ではないの……?
マリスとのキスは心から不快だったのに、どうして?
寧ろ………。
自分の心を置き去りにしたまま、
快楽に馴染みはじめた身体はそれらの感覚を掬い上げる。
熱に沈んだ瞳で見上げれば、その口角が上がった。
「真っ白っすねぇ………。
あなたの肌をオレが穢していると思うと、たまらなくなりますよ」
震える私をきつく抱き寄せながら、ちゅ、………ちゅ、と素肌にキスの雨が降り注ぐ。
(駄目………。だって、私は………っ)
彼の腕のなかに囚われていると、
その温もりが心に刺さったままの氷の棘さえ溶かしていくような錯覚を覚える。
幸せそうなその表情をみていると こちらまで温かな感情の染みが広がっていく感覚に、
絡め取られるような感情を抱いて、ふいと視線を解いた。
「オレをみてください」
その声に首を振ると、伸びてきた指が隆起しかけていた乳首を摘む。
「………ひぅっっ」
彼の視線によって主張しかけていたそこは瞬く間に硬くなり、声が零れ落ちないよう唇をかむ。
「ヴァリス様、………ヴァリス様」
譫言のように名を呼びながら、デコルテに顔が埋められる。
彼の髪から薔薇の匂いがする。
華やかなるその芳香を感じていると、
彼の腕のなかにいると強く意識させられて、彼女はその唇をひらいた。